みんなで10分、気軽に体操 職場や地域で習慣に

みんなで10分、気軽に体操 職場や地域で習慣に

2014/9/14付

 夏バテした体を運動で鍛え直そうと、意気込む人も多いかもしれない。突然の激しい運動は体への負担も大きいが、「いつもよりちょっと多めに体を動かす」程度なら安心して楽に続けられ、健康維持に役立つ。一人ではなく職場や地域の仲間と声を掛け合ってできれば運動の輪が広がり、自然に習慣づけられてなお効果的だ。

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慶大のイベントでは「プラス・テン体操」を楽しんだ


 8月5日、真夏日にもかかわらず神奈川県藤沢市の慶応義塾大学の会議室に高齢者ら約30人が集まった。Tシャツやジャージーのラフな姿で、運動の効果に関する座学と実践を組み合わせたユニークな催しに参加した。慶大が同市保健医療センターなどと開いた。

■週1~2回やろう

 「体を動かさないと寿命が縮まる」「毎年そのために、喫煙によるのとほぼ同数の人が命を落としている」。慶大大学院健康マネジメント研究科の小熊祐子准教授が説明すると、会場は静まりかえった。同准教授によると、体を動かすことは2型糖尿病、高血圧、大腸がんの減少や、うつの改善などに役立つというデータが各国で集まっている。
 運動が大切だと頭では理解できても、ハードルを上げすぎてはなかなか実践できない。必要なのは激しいトレーニングではなく、「仕事、余暇、家事の際に姿勢をよくし、大きな筋肉を動かすなどちょっと意識するだけでもいい」と小熊准教授は話す。どこでも気軽にできる簡単な体操を覚えておけば、なお便利だ。
 同市保健医療センターの健康運動指導士を務める斎藤義信・慶大研究員らは、そんなニーズにぴったりの体操を考案した。ストレッチ、有酸素運動、筋肉トレーニング、バランス運動を組み合わせて10分程度でできる。ナレーション入りの音楽付きだ。普段よりも10分多く運動を、という意味を込めて「プラス・テン体操」と名付けた。
 いすにつかまってかかとを上げる、両腕を頭上に上げて体を傾ける、軽く膝を曲げスクワットをする、などを10~20回ずつ繰り返すと汗ばんでくる。最後はゴムのようなバンドを手や足に引っかけ、伸ばしたり縮めたりする筋肉運動だ。途中で疲れて座り込んだりやめたりする人はゼロ。参加者からは笑顔もこぼれた。
 もちろん、1回やっただけでは健康への効果は望めない。週に1~2回ずつ、2~3カ月は続けることが大切だ。一緒に体を動かす仲間を見つけられれば続けやすい。「地域の会合や職場の会議の前に10分間、体を動かそうと心がけてみて」と斎藤研究員は勧める。イベントを繰り返し、参加者に健康状態を聞くアンケートや体力測定などにより効果の科学的データも蓄積したいという。

■3分間でも効果
 藤沢市よりも一足早く、地域の健康対策の一環で簡単な体操の普及に乗り出したのは島根県雲南市だ。阿用地区では「アヨさん体操」が広がっている。10分と言わず「3分間で、いつでも、どこでも、だれでも手軽にできる」がうたい文句だ。きっかけは市立の身体教育医学研究所うんなんの北湯口純主任研究員と、地区のリーダー的存在の70代男性との会話だった。

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 男性の父は長年、膝の痛みに悩まされていた。父の死後、健康によいなどとして売られている食品が大量に見つかって男性は衝撃を受けた。日ごろから体操していれば痛みも軽減できたのではないか――。そんな思いから、膝や腰の痛みを持つ人に的を絞り、北湯口主任研究員らと生み出したのがこの体操だ。
 伸び、手首と足首回し、脚の裏伸ばし、ふくらはぎ伸ばし、スクワットなどを組み合わせた。立って実施するものと座ってできるものがある。時間は短くても毎日朝、昼、晩と3回やればかなりの運動になる。「簡単な動きでも意味があるんだ、と実感してもらうのが大切だ」(北湯口主任研究員)
 雲南市では阿用地区を含む9地区で似たような体操や運動が普及している。地域の世話役などが会合で体操を始めたり、「もう少し歩こう」と歩行を奨励したりする。次にその会合の参加者のうちの何人かが中心となり、別のグループで体操などを始める。これの繰り返しで、地域の人たち全体に体を動かす習慣やアイデアが広がっていく。
 都市部では高層ビルに籠もりきりの人も多い。身体教育医学研究所うんなんの立ち上げにかかわった鎌田真光・米ハーバード大学博士研究員は、「お昼に10分くらい散歩に出たいのに職場の雰囲気で出づらいという経験をした人は多いのでは」と問いかける。ハードルを下げ、背中をポンと押すきっかけ作りを「個人も自治体も企業も工夫してほしい」と呼びかける。
(編集委員 安藤淳)

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
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【メタボ要注意】プレ糖尿病の人はがんになるリスクが15%高い
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血糖値が正常値より高いけれど、糖尿病と診断されるまではない、いわゆるプレ糖尿病。正式には「糖尿病前症」というらしいが、そうした”予備軍”の人はがんにかかるリスクが15%高いのだという。
中国・The First People’s Hospital of ShundeのYi Huang氏が、90万人を対象とした16の研究データのメタ解析を行い、明らかになった。

肝臓や胃などのがんリスクが高く

専門誌「Diabetologia」に掲載されたレポートによると、特に肝臓、胃、膵臓、乳房、子宮でのがん発症リスクが高まるらしい。しかも、BMI指数を正常に戻した後も、糖尿病とがんにかかるリスクは抱えたままなのだという。
一方で、前立腺、卵巣、腎臓、膀胱、肺のがんとの関連は認められなかった。
今回の結果について、Huang氏は、インシュリン抵抗性がついて血糖値が下がりにくくなることが、がん細胞の増殖を引き起こしているのではないかとの見方を示す。
しかし、実際には、高い血糖値が続くことと、発がんの間にどう連動するメカニズムがあるのかはわかっておらず、今後の研究で明らかにしたいとしている。

米国では3人に1人が“リスク保有”

米国疾病管理センターの調査では、米国では大人の3人に1人が糖尿病前症で、そのうち15−30%が5年以内に2型糖尿病を患うことがわかっている。
糖尿病はメタボリックシンドロームによっておこる病気の1つ。糖尿病を発症するだけでも大変なものだが、さらにがんのリスクも高まるとあっては、やはり日頃から摂生してメタボを遠ざけるにこしたことはないようだ。

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