アルコールを飲む人は長生きらしい
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2014年9月17日  111

飲酒習慣は「百薬の長」か危険因子か

 適度の飲酒習慣は「百薬の長」といわれ、総死亡率や心血管障害の死亡率を減少させることが知られています。しかし過度の飲酒は動脈硬化を促し、虚血性心疾患や脳血管障害の危険因子となります。これらの“定説”を裏付ける研究が日本人間ドック学会で、関西地区のある健診センターから発表されていますので、分かり易く要約して解説してみます。
 人間ドック男性受診者のうち、肝障害、腎障害、糖尿病を有する人を除いた1000人弱を対象に、飲酒量(非飲酒、1合以下、1~2合、2合超の4群に分類、論文内に明記されていませんがおそらく日本酒換算)、血圧、採血データの集計を行いました。
 まず血圧。収縮期血圧は、非飲酒者の平均が115mmHg位、飲酒量とともに増加し、2合超で平均120mmHgでした。拡張期血圧は非飲酒者の平均が73mmHg位、飲酒量とともに増加し、2合超で平均77mmHg位でした。
 この差は統計学的には有意に増加したことになっていますが、元来血圧はアバウトなデータであり、変動も大きく、1日に10万回の脈拍があるとすると(1分間に70回脈を打っているとすると1日では10万800回)、10万通りの血圧があると云われています。従って統計的に有意差ありと云われても臨床的感覚では大差ないと思われます。

飲酒量と共に減少する悪玉コレステロール
 総コレステロールは飲酒量の各群間で差はありませんでした。中性脂肪は非飲酒者と1合以下の群では平均130mg/dlで、2合以上では170mg/dlでした。統計上の有意差はあります。中性脂肪も日々の変動が大きい検査項目であり、かつまた食事後採血までの経過時間が12時間未満では誤差が大きく出ることが分かっていますが、今回のこの研究は人間ドックの受診者を対象としているため、食後から採血までの経過時間は十分とられていると予想できますので、信頼度は高いと思われます。
 HDLコレステロール(善玉コレステロール)は非飲酒者の平均が50mg/dl、飲酒量と共に増加し、2合超の群では平均60mg/dlでした。これは有意の増加と判断できます。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は非飲酒者の平均が135mg/dlで、飲酒量と共に減少し、2合超の群では平均110mg/dlでした。これも有意の減少と判断できます。他に尿酸のわずかな増加、血糖値の微増などのデータが示されています。
 この研究は飲酒量の分類が2合超の群には3合の人も1升の人も同じ群に入れてありますので、著しい過度の飲酒者のデータははっきりしません。
 でも2合程度の晩酌をする人は、非飲酒者よりも動脈硬化の危険因子からみると安心材料が多いと判断できそうです。

自分はどの程度の飲酒なら安心なのか

 よく訊かれるのが、自分はどの程度の飲酒なら安心なのかという質問です。多分お墨付きがほしいのだろうと思いますが明快な回答には躊躇します。今回紹介した研究は日本酒換算のようですが、日本酒1合といっても1合イコール180mlとは限りません。結構上げ底のお銚子があることはよく経験するところです。
 またアルコールの種類で差がないのかも疑問になります。日本酒、焼酎、ビール、ワインの分類ではどうなのか、焼酎では産地で差はないのか、以前ブームになったワインは白より赤が本当にいいのか、ビールは国産と輸入品では同じなのか、輸入品では空輸が安心だが船便のものはだめなのか、などなどむずかしい質問をされても答えようがなくて困ってしまいます。
 この記事を、赤提灯に寄る名目にしようとしている読者の皆さんは、飲み過ぎに注意してください。

鷲崎 誠(わしざき・まこと)
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医学博士。昭和大学医学部卒業後、虎ノ門病院病棟医・専攻医、順天堂大学呼吸器内科講師、伊勢丹健康管理センター所長、東京地下鉄健康支援センター所長を歴任。現在は複数の企業で産業医を勤める。著書に「健康診断・人間ドック『気になる』疑問」、「日頃気になる 体のあのこと この症状」などがある。

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「虫から薬」をつくる時代がやってきた!カイコが製薬業界の救世主となる?

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カイコが未来の薬をつくる。「Shutterstock」より


「虫から薬」と聞くと、虫に菌類の胞子が付着することで冬は虫の形をしているものの夏になるとキノコが草のように生える漢方の冬虫夏草を思い浮かべてしまう。しかし、現代はまさに昆虫から薬を作り出すという時代を迎えつつある。なんだか漢方のように苦そうで口にするのもためらわれるが、開発が進んでいるのは、外科手術の際に使ったりするものなので、口に入れるのではないのでご安心を。
  
 薬を作るのに使われるのは遺伝子組み替えで作った特殊なカイコの幼虫。幼虫が吐き出す絹糸は「フィブロイン」と呼ばれる繊維状のタンパク質でできている。人工的に育種されたカイコは絹糸を作り出す絹糸腺と呼ばれる組織が巨大化しているので、遺伝子組換えができれば目的とするタンパク質を効率よく生産できるわけだ。2000年には独立行政法人農業生物資源研究所(茨城県つくば市)がカイコの遺伝子組換え技術の開発に成功、カイコの幼虫を生物工場として活用しようというアイデアが現実のものとなってきた。
 
 さらに同研究所は、08年にはオワンクラゲの緑色蛍光タンパク質を利用してカイコから光るシルクを作り出すことに成功。14年8月には強くて切れにくいクモ糸の性質とシルクの性質を合わせもつ新しい”クモ糸シルク”を生産するカイコを作り出すことにも成功したと発表している。クモ糸シルクは通常のシルクの1.5倍の切れにくさを持ち、将来的には手術用縫合糸などの医療素材や防災ロープ、防護服などの特殊素材への応用が期待されている。


●がんを治療する抗体医薬品にも期待

 さて、肝心のカイコに薬を作らせる研究だが、すでに病気の診断薬や化粧品用のコラーゲンとして実用化されているほか、アルブミンやフィブリノゲンなどの血漿タンパク質の開発が進められている。
 
 ヒト型フィブリノゲンの開発にあたっているのがアステラス製薬と免疫生物研究所(本社・群馬県)。共同では医薬品への製品化を目指して研究中で、最近になって基礎的な研究段階から次の製造方法を検討する段階へと進展、2020年の製品化を目標に研究を続けるとしている。フィブリノゲンは血液の凝固に関わるタンパク質で、外科手術の際などに止血剤などとしても使われている。複雑な構造をしていることから人工的に作り出すことができず、現在ではヒト血液を原料に生産されている。
 
 こうした血漿タンパク質は生体内で抗原抗体反応に関わることから、がんを治療する抗体医薬品の生産にもカイコが期待されている。
 ヒトや動物など生物由来の医薬品は「生物学的製剤」と呼ばれ、かつて起こった非加熱の血液凝固因子によるHIV(エイズウイルス)や肝炎ウイルスの感染といった問題に代表されるようにリスクも伴うため、現在では安全性の高い遺伝子組換技術によって大腸菌などで生産する方向になっている。
 
 実は糖尿病治療薬のインスリンも、1922年に初めて投与された当時は動物の膵臓から抽出したものだったが、今では大腸菌や酵母菌などの遺伝子組換えによって作りだされているのだ。
 養蚕は紀元前15世紀ごろから始まったとされ、日本では1~2世紀ごろに始まり、1909年には生糸生産高が世界一になっている。その後は衰退の一途をたどり、今は中国やインドなどが主生産国だ。一連の研究で日本の養蚕の歴史に新しいページが加わりそうだ。 (文=チーム・ヘルスプレス)

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メタボリックシンドローム 糖尿病網膜症の進行を抑えるには?
メタボリックシンドローム
厚生労働省は、健康日本21の基本方針の一つとして、「生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底」をあげています。
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(画像はイメージです)

具体的な方策として生活習慣病の予防のための生活改善の方法などをホームページで紹介しています。

メタボリックシンドロームは、内蔵型肥満を持つひとのなかで、高血糖、脂質異常、高血圧のなかで二つ以上が現れている状態のことです。

メタボリックシンドロームになると心疾患によって死亡する可能性がメタボリックシンドロームを持たないひとの50倍以上になることから、メタボリックシンドロームを予防することは日本人の平均寿命を延ばす可能性があると予想されます。

メタボリックシンドロームを持つひとと持たないひとを長期間観察して、死亡数を調べた結果から出てきた数字です。

血糖値が高いひとでは糖尿病性網膜症も問題になります。平均寿命には影響しないかもしれませんが、健康寿命に大きな影響を与えます。

予防ではなく、軽度の症状が出ている場合には進行を抑えるにはどうしたらいいでしょうか?高血糖、脂質異常、高血圧それぞれに薬がありますが、糖尿病の薬が糖尿病性網膜症を抑えるかどうかに関してはデータはほとんどありません。

そこで、アメリカではthe Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes(ACCORD)という大規模な前向き研究が行われました。2007年に試験が始まり、最近、結果が出つつあります。

糖尿病性網膜症の進行をとどめるには
AACORDに参加したひとのうち、開始時に網膜症を持っていたひとは3472名で4年間の観察データが揃ったのは2856名でした。
そのなかでは、網膜症の進行を有意に止めたのはフェノフィブラートという脂質異常症の治療薬でした。

血糖値の厳密な制御はコントロール群に比べて死亡例が増えたために早期で中止されています。

高血圧の厳密な制御は網膜症の進行に対して予防効果を持ちませんでした。

日本ではスタチン類が脂質異常症の薬剤に用いられています。この試験でもコントロール群にもスタチン類が投与されていまが、スタチン投与だけでは網膜症の進展を予防できませんでした。

「健康日本21(第2次)について講演抄録
http://www.kenkounippon21.gr.jp/kyogikai/4_info

厚生労働省「メタボリックシンドロームを予防しよう」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/metabo02/index.html

Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes (ACCORD) trial: design and methods.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/

The Effects of Medical Management on the Progression of Diabetic Retinopathy in Persons with Type 2 Diabetes
http://www.aaojournal.org/article/
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