2型糖尿病の慢性歯周病に有効な治療法は?

wpid-55dff966cac74d3c1386af30_lg-2015-08-31-12-29.jpg

歯周炎は、歯を失う原因にもなる歯周病のひとつです。今回の研究は、2型糖尿病患者の慢性的な歯周炎に対し、スケーリングルートプレーニング(歯垢や歯石をとる方法)とサトラニダゾール(抗菌薬)を併用したときの有効性を検証しました。

◆スケーリングルートプレーニング(SRP)とサトラニダゾールの併用効果を検証

この研究は、歯周ポケット(歯と歯茎の間に溝ができ、その溝が深くなりポケットとなること)が5mm以上の2型糖尿病患者64名を対象としました。 32名ずつ、SRPとサトラニダゾール治療を行う群とSRPのみ行う群にランダムに分け、効果を検証しました。
◆SRPとサトラニダゾール治療を併用した方が改善
以下の結果が得られました。
6ヶ月時点で、Group24.73mm)はGroup12.09mmp<0.05)と比べて、プローブ深度の平均減少量が大きく、臨床的アタッチメントレベルもより大きく改善していた(3.92mm vs 1.64mmp<0.05)。

2型糖尿病患者の慢性的な歯周炎に対し、SRPとサトラニタゾール治療を併用すると、歯周ポケットが小さくなり、歯周病がより改善しました。
筆者らは、「3%のサトラニタゾールゲルを歯周炎の対象者に非外科的な歯周治療の補助として使うと、初期の歯周治療単独で行うよりも、臨床結果が有意に改善する。」と述べています。

歯周病は、糖尿病心筋梗塞などとの関連性が報告されており、また口臭の発生の面からも改善するメリットは多くあります。抗菌薬の位置付けを含め、歯周の炎症を抑える最適な手段が今後検証されることを期待します。

wpid-PastedGraphic14-2015-08-31-12-29.png

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

糖尿病には炭水化物は少ない方がよいか?多い方がよいか?

wpid-55de4c61d25efa150a14c364_lg-2015-08-29-12-13.jpg

2型糖尿病患者に対する低炭水化物食の有効性や安全性はいまだ検証段階です。今回の研究では、低炭水化物食と高炭水化物食を比較して、血液検査値への効果が調べられました。

◆低炭水化物の食事の有効性を検証

今回の研究は、2型糖尿病がある115名の肥満成人を、低炭水化物の食事療法を行う群(LC群)と、エネルギーは同じで高炭水化物の食事療法を行う群(HC群)にランダムに振り分けました。
低炭水化物の食事療法は、摂取カロリーの内訳が炭水化物14%、たんぱく質28%、脂肪58%(飽和脂肪酸10%未満)としました。
一方、高炭水化物の食事療法は、炭水化物53%、たんぱく質17%、脂肪30%(飽和脂肪酸10%未満)としました。

◆低炭水化物の食事療法を行うと血糖値などの血液検査値が改善

食事療法によって次の結果が得られました。
HC群と比較してLC群では、[…]、中性脂肪(LC食事:-0.4mmol/l95%信頼区間-0.5から-0.2mmol/l)、HC食事:-0.01mmol/l95%信頼区間-0.2から0.2mmol/l)、p=0.001)をより大きく減少し、HDLコレステロールLC食事:0.1mmol/l95%信頼区間0.1から0.2mmol/l)、HC食事:0.06mmol/l95%信頼区間-0.01から0.1mmol/l)、p=0.002)はより大きく増大した。

低炭水化物の食事療法は、高炭水化物の食事療法よりも中性脂肪やHDLコレステロールの数値を改善しました。

また、両方の群で体重、血圧、ヘモグロビンA1cなどが改善しました。
低炭水化物を主とした食事療法、高炭水化物を主とした食事療法のどちらも、血糖に関する数値には効果がある一方で、低炭水化物を主とした、相対的に脂肪の多い食事療法の方が中性脂肪やHDLコレステロール値を改善するという結果でした。
栄養のバランスから考えると、炭水化物を減らすことが必ずしも良いことかどうかは議論の余地がありますが、中性脂肪やHDLコレステロールの値が改善したことはひとつの結果として念頭に置いておいてもよさそうです。

wpid-PastedGraphic8-2015-08-29-12-13.png

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

トランス脂肪酸だけが健康に悪いのか/BMJ

wpid-PastedGraphic4-2015-08-28-12-06.png

 飽和脂肪酸の摂取と、全死因死亡、心血管疾患(CVD)、冠動脈疾患(CHD)、虚血性脳卒中、2型糖尿病との関連は認められなかったが、そのエビデンスは限定的であることが示された。一方、トランス脂肪酸の摂取は、全死因死亡、総CHD発生、CHD死と関連していたが、それは工業型トランス脂肪酸の摂取が反すう動物由来トランス脂肪酸の摂取よりも多いためであることが示唆された。カナダ・マックマスター大学のRussell J de Souza氏らが、観察試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年8月11日号掲載の報告より。

飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の健康アウトカムとの関連を評価
 食事のアドバイスに関して、直近のシステマティックレビューおよびメタ解析の著者らは、飽和脂肪酸の摂取と過剰な心血管リスクとの関連性はないと主張している。また米国では最近、加工食品に部分水素添加植物性油脂を使用しないよう求めるポリシーアクションを採択した。一方で健康ガイドラインでは、これら栄養素の有害性エビデンスについて、代替栄養素にも焦点を当てて慎重にレビューと評価を行うことを定めており、今回研究グループは、飽和脂肪酸とトランス不飽和脂肪酸(すべて、工業型、反すう動物由来)の摂取と全死因死亡、CVD(発生および死亡)、CHD(発生および死亡)、虚血性脳卒中、2型糖尿病との関連を調べるシステマティックレビューとメタ解析を行った。

 発行開始から2015年5月1日時点までのMedline、Embase、Cochrane Central Registry of Controlled Trials、Evidence-Based Medicine Reviews、CINAHLを検索。検索論文および既往レビューの参考文献も検索対象に含め、上記の関連について報告していた観察試験を選択した。2人のレビュワーがそれぞれデータを抽出し、試験のバイアスリスクを評価。多変量相対リスクをプールして、不均一性を評価し定量化した。潜在的出版バイアスを評価し、サブグループ解析も行った。エビデンスの質および結論の確実性の評価にはGRADEアプローチを用いた。

飽和脂肪酸の低リスクエビデンスは「非常に低い」
 飽和脂肪酸について適格基準を満たしプールされた前向きコホート試験は、3件(CVD死との関連試験)~12件(総CHDおよび虚血性脳卒中との関連試験)にわたっていた。比較検討は5件(CVD死との関連試験)~17件(総CHDとの関連試験)、被験者数は9万501例(CVD死との関連試験)~33万9,090例(虚血性脳卒中との関連試験)であった。

 結果、飽和脂肪酸摂取と、全死因死亡(相対リスク:0.99、95%信頼区間[CI]:0.91~1.09)、CVD死(0.97、0.84~1.12)、総CHD(1.06、0.95~1.17)、虚血性脳卒中(1.02、0.90~1.15)、2型糖尿病(0.95、0.88~1.03)との関連はいずれも認められなかった。CHD死との関連は説得力がないとは言えないものであった(1.15、0.97~1.36、p=0.10)。

 トランス脂肪酸についてプールされた前向きコホート試験は、1件(反すう動物由来の全死因死亡との関連試験)~6件(すべてのトランス脂肪酸の2型糖尿病との関連試験)。比較検討は2件~7件、被験者数は1万2,942例(反すう動物由来の2型糖尿病との関連試験)~23万135例(すべてのトランス脂肪酸の2型糖尿病との関連試験)であった。なお、工業型トランス脂肪酸と虚血性脳卒中および2型糖尿病との関連、また反すう動物由来トランス脂肪酸と虚血性脳卒中との関連については、プール可能な試験が得られなかった。

 分析の結果、すべてのトランス脂肪酸摂取と、全死因死亡(1.34、1.16~1.56、p<0.001)、CHD死(1.28、1.09~1.50、p=0.003)、総CHD(1.21、1.10~1.33、p<0.001)との関係が認められた一方、虚血性脳卒中(1.07、0.88~1.28、p=0.50)、2型糖尿病(1.10、0.95~1.27、p=0.21)との関連は認められなかった。

 工業型トランス脂肪酸との関連は認められたが反すう動物由来トランス脂肪酸との関連は認められなかったのは、CHD死(1.18[1.04~1.33、p=0.009] vs.1.01[0.71~1.43、p=0.95])、CHD(1.42[1.05~1.92、p=0.02] vs.0.93[0.73~1.18、p=0.55])であった。

 一方で、反すう動物由来トランス脂肪酸と2型糖尿病では逆相関の関連がみられた(0.58、0.46~0.74、p<0.001)。

 しかし、GRADEによる検討の結果、飽和脂肪酸とすべてのアウトカムとの関連の確実性は「非常に低い」もので、トランス脂肪酸とCHDアウトカムとの関連性の確実性は「中程度」であり、その他の関連については「非常に低い」か「低い」ものであった。

 これらの結果を踏まえて著者は、「食事ガイドラインは、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸に代わる推奨主要栄養素が、健康に与える影響を十分に考慮すべきである」と述べている。
(武藤まき:医療ライター)

wpid-PastedGraphic3-2015-08-28-12-06.png

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

甘い飲み物で意識が混濁…
「夏のダメージ」が突然死招く

wpid-PastedGraphic20-2015-08-26-12-35.png

 一時より過ごしやすくなったと油断することなかれ。7月、8月と暑さに酷使された体は相当ダメージを受けており、突然死を起こしやすくなる時季でもある。気を付けるべきことは何か。

「糖尿病や糖尿病予備群の人は、“喉が渇いた。何か飲みたい”という欲求を、自然なこととしてすんなり受け入れてはいけません」

 こう言うのは、「しんクリニック」(東京・大田区)の辛浩基院長だ。

 糖尿病になると、ブドウ糖をうまく利用できなくなる。そのため血中にブドウ糖が増え、それを排出するために尿の量が増える。

 ただでさえ汗で体内の水分が失われやすい季節なのに、多尿で体内の水分はより失われ、脱水症状に陥りやすい。

 そこで失われた水分を補給しようと、喉の渇きを強く感じるようになる。熱中症の脱水症状とは違って、糖尿病が主な原因なので、いくら水分を摂取しても喉の渇きは癒やされない。

 加えて、ブドウ糖が吸収されないため、体は「ブドウ糖が足らない」と誤認識し、ブドウ糖を欲するようになる。ブドウ糖=甘いものだ。

「つまり、コーラや缶コーヒーのような糖の多い飲み物を飲みたくなる。その体からの欲求に負けて行動に移すと、危険なのです」

 糖を多く含む飲み物は吸収が早く、血糖値が500~1000㎎/dlまで急激に上昇する。

「すると、ケトン体と呼ばれる毒性を持った代謝成分が血液中に発生し、全身のひどい疲労感、腹痛や嘔吐、意識障害などを起こす。昏睡状態に陥って心機能や呼吸機能が著しく低下し、そのまま突然死に至る可能性もある。『ペットボトル症候群』や『ソフトドリンク・ケトーシス』と呼ばれています」

 水分摂取は、夏を無事に乗り切るための必須ポイントだが、糖尿病の人は、甘味がついた飲み物は絶対にNGだ。

■エアコンを我慢し脳梗塞に

 夏の心筋梗塞、脳梗塞の危険を指摘するのは、東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授だ。

 脳梗塞には、脳の動脈が血栓で詰まるラクナ梗塞や、血栓で血管が詰まるアテローム血栓性脳梗塞といった脳動脈の病気によるものと、心臓にできた血栓が脳の太い血管を詰まらせる心原性脳塞栓症がある。

「夏は脱水症状で血液がドロドロになりやすく脳の動脈が詰まる脳梗塞が起こりやすい。以前は冬に多いといわれていた心筋梗塞や心原性脳塞栓症も、屋外と屋内の急激な気温差や猛暑によるストレスで増えています。心原性脳塞栓症は、脳梗塞の中でも死に至る率が高く、非常に怖い」

 ペットボトル症候群対策と同様に、十分な水分摂取が必須。アルコール摂取、睡眠不足、喫煙にも気をつけなくてはならない。ビールを飲んで“水分摂取”と思っている人がいるかもしれないが、アルコールは脱水症状を促進させる。

「エアコンも上手に利用してください。体への負担を考えると、26度前後がベター。夜はタイマーをかける人がいるかもしれませんが、エアコンが切れると室温は上がり、暑さによるストレスで目が覚めたり、夜間熱中症になりかねません。27~28度に設定し、夜中もエアコンをかける」

 今しばらく、「夏」への警戒を緩めてはいけない。

wpid-PastedGraphic19-2015-08-26-12-35.png

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

歯の汚れが血糖値を上げる要因? 書籍「糖尿病は歯ブラシで治せる」発売

wpid-001-2015-08-26-11-26.jpg
『糖尿病は歯ブラシで治せる』(税込1,404円)

マキノ出版はこのほど、新刊『糖尿病は歯ブラシで治せる』を刊行した。
糖尿病は、予備軍も含めると日本国内の成人6人に1人にあたる2,050万人もいると推定されている。
糖尿病対策は、食事療法と運動療法が2本柱であったが、長続きせずに挫折する人が多かった。同書での著者は、全国の実証実験において、歯周病と糖尿病の相関関係に着目。以来、研究を重ね、「オーラルケアを徹底すると糖尿病が改善する」という結論を導きだした。同書では内科医と歯科医師による画期的なセルフケアを紹介している。

同書では、歯の汚れが血糖値を上げる要因であるという点から、「歯周病‐脂肪肝‐糖尿病」の負のスパイラル、血糖値とプラークをコントロールするための食事と運動について解説。歯周病のセルフケアとして正しいブラッシングの方法、歯磨き剤の選び方、補助アイテムの使い方などをわかりやすく紹介している。
価格は1,404円(税込)。

マイナビニュース

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

血糖値コントロール可能な「1型糖尿病」 過剰な制限ない学校に

娘の学校での過ごし方について、鷲山龍太郎校長(中)や養護教諭と話し合う大池祥恵さん(右)=横浜市港北区の太尾小学校で
wpid-PK2015082402100147_size0-2015-08-25-11-23.jpg

 主に子どものころに発症し、生涯にわたりインスリン注射が必要となる1型糖尿病。血糖値をコントロールすれば、ほかの子と同様に学校生活が送れるが、患者が少ないため教員に理解されず、体育や宿泊学習で過剰な制限を強いられるケースが少なくない。患者の親らは「病気を正しく理解してほしい」と学校などに訴えている。

 「頑張ったからここまでできたんだよ、って褒めています」。横浜市港北区の会社員大池祥恵(さちえ)さん(36)は喜ぶ。太尾小学校五年生の長女優季(ゆうき)さん(11)は、二十五日に開かれる市の水泳大会に学校代表として出場する。「保育園や学校が病気を理解してくれたので、娘も水泳や陸上などに取り組めました」

 優季さんは三歳の時、尿検査で1型糖尿病と分かった。医師によると、数カ月前にひいた風邪が原因とみられ、通っていた保育園の園長、看護師にも病院で説明を聞いてもらった。自宅で血糖測定や注射の練習をし、六歳から自分でできるようにした。

 小学校入学時には、低血糖の場合や予防のため、授業中に補食のラムネやおにぎりを食べる必要があることなどを、校長や担任に説明。優季さん自身も、クラスの自己紹介で病気のことを友達に話した。注射は職員室などで行う。これまで校内で倒れたことはなく、宿泊学習も毎年みんなと同じように参加するなど、学校生活を楽しんでいる。
 特別支援学校での勤務が長い鷲山(わしやま)龍太郎校長(59)は、優季さんへの理解を全教員に広げた。「食物アレルギーやてんかんなど、他にも健康上の問題を抱える児童がいる。学校は、極力みんなが同じ生活、教育を実現できるよう合理的な配慮をする必要がある」と話す。

◆学校側の対応に悩む親子も

 「1型糖尿病は、自己管理すれば学校生活を制限する必要はないが、万一のことを心配して制限する学校が多い」。国立成育医療研究センター内分泌・代謝科の堀川玲子医師は話す。
 「水泳はさせない」「水泳時は違う色の帽子をかぶる」「宿泊学習は参加させない」「遠足や修学旅行は必ず保護者が付き添う」-。こうした学校の対応に悩む親も少なくない。校長により対応が変わるケースも多い。
 血糖値のコントロールは慣れが必要だ。食事量や運動量によっては低血糖になり、ひどいときはけいれんや意識低下で倒れる可能性も。意識が低下した場合でも、誰かがゼリー状の携帯用補食を口に流し込めばすぐ回復するが、「医療ではないのに、医療行為だからできないと誤った主張をする学校もある」。
 学校から「ダメ」とやる気に水を差され、自分の病気を受け入れられなくなる子もいる。堀川医師は「家庭でできることは学校でもできるようにし、子どもの可能性や能力の芽を摘まないようにしてほしい」と学校関係者に要望する。
(砂本紅年)

 <1型糖尿病>主に、リンパ球が自分自身の組織を誤って攻撃してしまう「自己免疫」によって起こる病気。生活習慣病や、先天性・遺伝性の病気ではない。糖尿病患者の99%を占める2型糖尿病とは原因も治療の方針も違う。日本の発症率は10万人に1~2人。血糖値を下げるインスリンを分泌する自分の膵臓(すいぞう)細胞を破壊することで発症。毎食前にインスリンを注射し、食べ物で血糖値が上がらないようにする対症療法を行うが、副作用として低血糖を招くことがある。

中日新聞 CHUNICHI WEB

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

第3138号

【寄稿】
小児思春期1型糖尿病患者のケア
患者と共に長い人生を歩む覚悟を持って
南 昌江(南昌江内科クリニック院長)


 小児思春期糖尿病における治療の最大目標は,“将来,その患者が自立して生きていく”ことであり,私たち医療者に求められるのは,患者の発症年齢によらず,発症当初から一貫した姿勢で患者や家族と接することである。家庭は最も重要な治療の場となるため,患者会などで医療者や患者家族間のコミュニケーションを図っていくことが大切になる。

「患者本人」が治療の中心であることを意識付けていく

 子どもが病気になって初めにショックを受けるのは両親,特に母親であろう。そのため,子どもの治療以外に母親のケアも重要で,当院では「母の会」を開催している。初めて参加する母親は,ショックと悲しみで多くの不安を抱えているが,同じ境遇にある先輩の体験談を聞くことで,不安は軽減されることが多い。母親の気持ちや考え方は子どもに大きく影響を与えるため,最初の悲しみの時期を過ぎたら,患者が将来自立した大人になるためにはどのように育てていけばよいかを一緒に考える必要がある。適切な時期になったら治療の主導権は患者自身に任せるべきであり,子離れ,親離れのタイミングを考えながら,自分のことは自分でさせ,少し遠くから見守るくらいの姿勢で育てることが大切である。

 とはいえ,乳幼児期の治療は当然母親が行う。血糖変動はこの時期の特徴でもあるため,重症低血糖や顕著な高血糖を回避することを目標にし,あまり血糖管理に神経質になりすぎないようにする。保育園や幼稚園に行く年齢になったら,朝夕+おやつ時のインスリン3回注射法か,インスリンポンプでの治療を行う。インスリン注射や血糖測定のために,母親が毎日保育園や幼稚園に出向くことは子どもの精神的成長を妨げることにもなりかねないため,避けたほうが良いだろう。食事やおやつは基本的な栄養のバランスを意識した上で,成長に十分なエネルギーを摂取1,2)していれば,他の子どもと同様で問題はなく,特別扱いはしないよう両親や先生に説明を行う必要がある。

 学童期(小学生)の患者には,サマーキャンプ()への参加を勧めている。同じ病気の子どもと出会い,友人を作ることは,自分一人ではないという安心感と勇気につながるためだ。小学校低学年の患者の中にはインスリン自己注射や血糖自己測定(SMBG)を自分では行えない子どももいるが,キャンプで同年代の子どもが自分で行っている姿を見て,積極的に取り組みはじめる患者も多い。自己注射ができるようになれば,治療を強化インスリン療法に変更することができる。

 学校行事は全て他の生徒と同じように参加できる。体育や遠足など,活動量が多い行事に関しては,低血糖に注意し,当日のインスリンの減量や必要に応じた補食の摂取を事前に指導する。学校生活の環境も重要であり,学校側に正しく理解してもらうために医療者からの説明が必要なケースもある。

 炭水化物の量の計算ができる年齢になったら,カーボカウントを用いたインスリン量の計算方法を指導するが,個人の成長度,性格や病気の受け入れの度合いによっても,その時期は異なる。小学校中学年になると思春期が始まり,急に血糖値が高くなることに不安を抱く患者もいる。成長ホルモンや性ホルモンの増加が主な原因で,正常に成長している証しであるため,インスリンの増量が必要であることを患者本人にきちんと説明するとよい。

 当院では,「治療の中心は自分である」ことを意識付けるために,基本的に中学年以上には自分でSMBGを記録し,診察も本人一人で受けてもらうようにしている。その際に病気以外の話もすることで,学校環境,病気の受け入れ,性格,家庭生活や家族との関係などを感じることができる。親が同席している場合でも,必ず本人との会話を重視し,親との会話が中心にならないよう心掛けることが大切である。

仲間の存在が,悩みや苦しみを乗り越える力に

 発達段階の中で,中高生のころは最もコントロールが乱れやすいと言われている。身体の急激な成長と性的成熟によりインスリン抵抗性が増大することに加え,心理的にも自己への不安や親への反発など不安定な時期であるが,自己評価形成の重要な期間でもある。ここで“糖尿病である”という大きな現実に直面し,悩みや苦しみはさらに大きくなるかもしれない。患者自身や家族が正しく糖尿病を理解し,受け入れることが最も大切であり,友人や学校の先生,医療者など,周囲の人間が患者を特別扱いすることなく,温かく見守る姿勢が求められる。

 このくらいの年齢になるとインスリン投与方法やSMBG,カーボカウントなどの治療技能は十分に習得できるものの,病気の受け入れ,家庭環境,性格など,患者個人に合わせた治療を行っていくべきである。悩み,苦しんだときに,話を聞いてくれ,心から信頼できる人(家族,友人,学校の先生,医療者)や同病の仲間は非常に大きな存在であり,サマーキャンプや患者会はそのような仲間をつくる場としても良い機会である。

 大学生や専門学生になると,寮生活や一人暮らしをすることも多く,不安を持つ子もいれば,のびのびしている子もいる。病気の受け入れ,食事やインスリン調整などの自己管理ができている患者とそうでない患者がいて,本当にさまざまである。親の管理下での生活から一変し,アルバイトや友人との外食,飲酒で生活が不規則になり,血糖コントロールが乱れやすい時期とも言える。20歳を過ぎてもあいさつができない,予約や時間の約束が守れないなど,時に当たり前のことができない患者もいる。これから大人になり社会人として生活していくためには,病気の有無は関係ない。社会のルールを守り,社会の中で自立して生きていけるよう,遅くともこの時期までには,その意識を持って自己管理ができるよう指導していかなければならない。これまでに患者会やサマーキャンプに参加したことがない患者であれば,サマーキャンプのヘルパー(ボランティア)としての参加や,ヤングの患者会の参加も自己管理や社会性を身につける上で有用であろう。

医師同士の信頼関係構築が円滑な移行の鍵

 小児科から内科への移行3)は大学進学などを契機に行われることが多い。しかしながら,家庭環境やその地域の医療環境,患者の心身の発達度などによって適切なタイミングは異なるため,柔軟性を持つことが望ましい。若年の糖尿病患者は,初診時は親と同席することが多いが,特に小児科から移行してくる場合は,初診時以降も親が同席し,親が会話の中心になりがちである。前述したように患者本人の自主性を認識させるためにも本人を中心とした診療であることを説明し,精神的な自立を促す指導が求められる。

 欧米に比べて日本は小児糖尿病患者が少なく,糖尿病を専門とする小児科医も非常に少ないが,小児科では十分に時間を掛けた親身な診察が受けられ,小児期特有の疾患などにも対応してもらえるといった利点がある。一方,内科には糖尿病専門医は多いものの,中には2型糖尿病と同様の厳しい食事療法を指導する医師や,インスリン調整の指導を行わない医師などがいることも事実であり,思春期に小児科での治療を経て移行した若い患者にとっては戸惑いを感じることがある。

 担当医師が変わる際,患者は少なからず不安を覚えるものだが,その不安を軽減するためには,やはり医師同士の信頼関係構築が欠かせない。書面上のやりとりだけでなく,実際に顔を合わせての勉強会,交流などがあれば紹介がスムーズになるだろう。心身共に自立し,糖尿病を受け入れ,うまくコントロールできている患者であれば,紹介先は糖尿病専門医であれば問題ないと思われるが,そうでない患者の場合には,可能であれば思春期から青年期の糖尿病診療の経験のある専門医を紹介するとよい。その際に,医学的なデータに加え,①心身の成長,②糖尿病の受け入れ,③家庭環境,④性格などの情報がその後の治療において大変参考になる。

 小児思春期に発症した患者は,就職,結婚,出産と,人生の大きな行事を,ともすれば一人で乗り越えなければならないときもある。私たち医療者は,常に患者と共に長い人生を歩んでいく心構えで患者・家族と接していくことが何よりも大切であると感じる。

:日本糖尿病協会を中心に,小中高生の1型糖尿病患者を対象としたサマーキャンプが各都道府県で開催されている。集団生活を通して病気の自己管理に必要な知識・技術を身につけると同時に,仲間をつくる場にもなっている。

◆参考文献
1)American Diabetes Association. Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications. Diabetes Care. 2003 ; 26 Suppl 1 : S51-61. [PMID : 12502619]
2)日本糖尿病学会編.科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013.南江堂;2013.p233.
3)日本小児内分泌学会糖尿病委員会.国際小児思春期糖尿病学会――臨床診療コンセンサスガイドライン2006-2008 日本語訳の掲載について.日児誌.2008;112(1):112-28.

医学書院

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

「皮付きポテト」でガンや糖尿病が防げる!?

wpid-PastedGraphic17-2015-08-22-12-32.png

「美味しいけれど、太りやすい」というイメージの強いじゃがいも。メタボを解消するために、食べるのを控えているという人もいるかもしれません。
しかし、実はじゃがいもは、“皮付き”のままで調理法を工夫をすれば、ガンや糖尿病の予防効果が期待できる栄養価の高い食材なんです。
今回は、意外と知られていないじゃがいもの健康効果と、カロリーオーバーを防いで効率よく栄養をGETする食べ方をご紹介します。

■じゃがいもは「大地のりんご」と呼ばれるほど栄養価が高い

じゃがいもはフランスで「Pomme de terre(大地のりんご)」と呼ばれるほど栄養価が高い食材。特にビタミンCがとても豊富で、その含有量はりんごを上回ります。
ビタミンCは血管や皮膚、胃腸の粘膜、骨などを強化するはたらきがあり、抗酸化作用(=老化抑制作用)が高い成分。アンチエイジングや免疫力のアップに役立ちます。また、食物繊維が多いため腸内環境を整え、便通を良くする効果も期待できます。さらに、高血圧の原因となるナトリウムを排出してくれるカリウムも含まれています。
これだけでもかなり健康に役立つ食材と言えますが、皮ごと食べることでさらにパワーアップさせることができるんです。

■皮ごと食べると“クロロゲン酸”が摂取しやすい

じゃがいもの皮付近には“クロロゲン酸”という成分が含まれています。クロロゲン酸も抗酸化作用の強い成分で、血管や肌を若々しく保つ効果や、血糖値の上昇を抑える効果、脂肪の蓄積を抑える効果が期待できます。
じゃがいも自体は血糖値を上げやすい食材ですが、このクロロゲン酸を一緒に摂取することで血糖値を上げにくくすることが可能。糖尿病の予防やガンの予防にも役立ちます。

■太らず健康効果をGETする食べ方のコツ

ただし、バターやマヨネーズなどの脂質が多い食材と組み合わせたり、揚げ物にしたりすると高カロリーになりやすいので要注意。日常的に摂取するなら、皮ごと茹でて少量の塩を振って食べたり、炒め物にして食べるのがおすすめです。玉ねぎと一緒に細長く切り、お味噌汁に入れても美味しいですよ。日常的に摂取する場合はできるだけシンプルな料理にしましょう。
 
太りやすいと敬遠されがちなじゃがいもも、食べ方次第で健康をサポートしてくれます。腹持ちが良いため高カロリーな調理法を避ければダイエット効果も期待できますよ。ぜひ上手に取り入れて健康に活かしてください。
 

wpid-PastedGraphic16-2015-08-22-12-32.png

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

糖尿病や心臓病が未然に防げる「鏡」って?

wpid-mirror15082201-1038x576-2015-08-22-12-23.jpg

最新のスマートデバイスと「健康」には深い関係性がある。流行りのウェアラブルと言えば、走った距離や道のりどころか心拍数や消費したカロリーまで管理可能。中には日焼けのしすぎや脱水症状をアラートするものもあるくらいだ。
もっと言えば、すでに健康状態を分析できるデバイスは医療分野でも活躍中だ。Apple WATCHを患者に配ることで無駄な診察を減らし、常時バイタルを確認して緊急連絡できるようになった事例もある。
ここで紹介する「鏡」もそのうちの一つ。しかし、従来のものよりもずっと日常に溶け込んだ形で利用できそうなところが興味深い。

鏡を覗くだけで
病気がわかる未来

が無効になっている場合は有効にしてください。</div></div>
イタリアの研究評議会(NRC)のリサーチャー達は、3Dスキャナーやビデオカメラ、ブレスモニター、画像分析システムなどを使ったスマートミラー「Wise Mirror」を開発している。
顔の筋肉や血行、酸化状態、呼吸や表情を分析して病気を早期発見することができるこの鏡は、心臓病や糖尿病の他、高血圧、鬱病まで認識する。必要な時間はわずか60秒。なにか身につける必要もない。歯磨きでもしている間にいつの間にか終わってしまう。
コンセプトは以下のとおりだ。
「慢性的な病気は予防することこそがもっとも経済的な治療方法です」
記号学で表情の要素を読み取り、生活習慣が原因になるであろう慢性的な病気を未然に防ぐことが可能になるというわけだ。
さらに、読み取れるのは表面的な要素だけではない。表情パターンから心理状態まで分析することができ、恐怖や不安などストレスの状態だって読み取るという。上の動画では、映画などを見る表情から心理状態を分析する様子が確認できる。
この技術を使えば、もっと日常的な体調を知ることも可能だろう。寝不足やその日のパフォーマンスだって教えてくれるかもしれない。「Siri」のような人工知能の気の利いた一言に一喜一憂しながら、毎朝の健康診断を楽しむーーそう遠くない未来、そんな日がやってくることを期待させる“鏡”だ。

wpid-mirror15082201-672x372-2015-08-22-12-23.jpg

世界とつながる、MOVEする  –  TABI LABO  

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

糖尿病の女性は認知症になりやすい? フィンランド研究


インスリン抵抗性が言語流暢性に関連
wpid-image.jsp-2015-08-22-12-18.jpg

 糖尿病(2型)と認知症、これからの日本で増えていくことが予想されている病気だが、この2つが女性に限って関連がある可能性が示された。フィンランド・トゥルク大学のラウラ・L・エークブラード氏らは、国民データベースを使って調査した結果、インスリン抵抗性(糖尿病の前段階)の女性では、認知症に関係する「言語流暢
りゅうちょう
性」が悪化するリスクが高かったと、8月15日発行の欧州糖尿病学会誌「Diabetologia」(電子版)に報告した。男性ではこの関連がみられなかったという。


30~97歳の男女6,000人を調査
 
 インスリン抵抗性は、膵臓
すいぞう
から分泌される血糖値を下げるホルモンのインスリンが十分に働かない状態。膵臓が疲れてインスリンを作る量がだんだんと減っていき、食後高血糖、さらには糖尿病へとつながっていく。一方、言語流暢性は、言葉を素早く、適切に処理する能力のことで、認知症や統合失調症などではこの能力が低下するといわれている。
 
 糖尿病とアルツハイマー病や認知機能低下は、これまでの研究で関連が指摘されており、最近の研究では脳でもインスリン抵抗性が発生し、それがアルツハイマー病の引き金になる可能性があると報告されている。
 
 エークブラード氏らは今回、フィンランドに住む30~97歳の男女5,935人(年齢中央値52.5歳、女性55%)を対象に、インスリン抵抗性とアルツハイマー病の危険因子となるアポリポタンパクEの変異(εアレル)や認知機能との関連を調べた。
 
因果関係は確定できず
 
 その結果、女性ではインスリン抵抗性が高さと言語流暢性の低下が関連していたが、男性ではこの関連が認められなかった。また、インスリン抵抗性が高いことは、アポリポタンパクEの変異がない人の言語流暢性の低下と関連していたが、変異を持つ人では関連は認められなかったという。
 
 これまでの研究では、アポリポタンパクEの変異がない人は、変異を持つ人に比べてインスリン製剤を投与することによる認知機能の改善が大きいこと、その効果は男女で差があることなどが報告されている。エークブラード氏らは、こうした結果が今回の研究でも裏付けられたと結論している。
 
 ただし、横断研究という手法のため両者の因果関係は不明であること、言語流暢性は認知機能の低下を検知する最良の指標ではないなどと指摘。女性の認知機能低下を示す早期マーカーとしての有効性を評価するには、2回以上調査を行う縦断研究での検討が必要としている。

(2015年8月22日読売新聞)

yomiDr. トップページへ

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

植物油は超危険!
アトピー、がん、糖尿病、認知症などの原因!

wpid-1552899p-2015-08-21-12-30.jpg
植物油

Business Journal

 皮膚炎や花粉症などのアレルギー、心筋梗塞、脳梗塞などの血管障害、糖尿病や脂質異常などの生活習慣病、各種がん、うつ、認知症などの脳疾患、これらの病気の大きな原因が植物油にあるのをご存じですか?

 私たち夫婦が植物油の害を知ることになったのは、娘のアトピーがきっかけでした。
 娘は生まれた時にすでにアトピー性皮膚炎にかかっていました。いわゆる食物アレルギーからの重症の皮膚炎で、顔が真っ赤になっていました。幸い食物アレルギーに詳しい助産婦さんの助言もあり、母親が食べるものを工夫する「母乳育児」によって、みるみるうちによくなりました。しかし、離乳後も玉子や乳製品などアレルゲンとなる食物は多く、それらを食べると喘息を起こしたり、手首や膝の裏がただれることが度々ありました。

 そんな娘も、食事療法を続け成長するに従い免疫力もつき、アレルゲンとなる食物も減り、10歳を過ぎる頃にはイクラなどかなり限られた食材にしか反応しなくなりました。また、娘自身も自分のアレルゲンを避ける知識や術を身に付け、アレルギー症状に苦しむこともなくなりました。
 こうした体質の改善に自信を得て、中学卒業後から7年間アメリカに留学しました。留学中も食べ物に気をつけていたのですが、寮の食事と外食生活で綱渡りの日々です。軽い症状が出ても、3カ月ほどある長い夏休みに帰国して、その間に妻の家庭料理で体をリセットするという留学生活を送りました。

 そして、留学を終え帰国して1年が過ぎた頃、アトピー性皮膚炎が再発したのです。手の指、肘の内側、脇の下、膝の裏側が特にひどく、赤くただれてしまいました。2006年、娘が22歳の時のことです。
 妻は、「留学中のジャンクフードなど悪食の影響が出ているだけなので、正しい食事に切り替えればやがて良くなる」と考え、食材をあらためて見直して子どもの頃のような食生活をしばらく続けましたが、一向に良くなりません。何人かの皮膚科医にも診てもらいましたが、ステロイド軟膏を処方されるだけで、これといった治療効果を得ることができませんでした。そうしている間も症状は悪化する一方で、年頃の娘は体の炎症を見ては悲嘆にくれていました。

●植物油がアトピーの原因だった!

 親としても、苦しむ娘の姿を見るのは忍びなく、どうにか良くなる方法はないものかと本気で調べました。インターネットで検索を繰り返すうちに、これまで考えもしなかった新しい情報が浮かび上がってきたのです。

 どうやら植物油の摂りすぎがアトピー性皮膚炎の大きな原因になっているらしいのです。さらに調べ進めると、一冊の本に行き着きました。それは、下関市立中央病院小児科部長(当時)の永田良隆医師の著書『油を断てばアトピーはここまで治る――どんなに重い症状でも家庭で簡単に治せる!』(三笠書房)でした。

 同書で永田医師は、1万人を超える臨床経験を基にアトピー性皮膚炎の大きな原因はサラダ油などの植物油にあり、特に植物油に含まれるリノール酸の過剰摂取が皮膚炎を起こすと指摘しています。そして、リノール酸を極力減らす食生活がアトピー性皮膚炎の治療の第一歩であると明言しているのです。

 同書のすすめに従って食生活を変えたところ、娘の皮膚炎はみるみるうちに改善していきました。さらに驚いたことに、酷かった冷えや便秘、慢性鼻炎、体のだるさなど、皮膚炎以外の症状まで改善し、見違えるほど元気になったのです。
 こうした植物油の影響を目の当たりにしたことで、私たち夫婦は植物油を見直し、さらに深く知ろうと研究を始めることになったのです。
 次回は、娘の心身に劇的な変化をもたらした食生活について述べていきます。

(文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家)

wpid-PastedGraphic15-2015-08-21-12-30.png

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

握力の弱い人は糖尿病や高血圧である可能性が高いことが明らかに

wpid-flickr_Walt-Stoneburner-2015-08-20-11-38.jpg

世の中で握力について真剣に考えている人など稀だろう。握力が強かろうが弱かろうが気に病む人は少ないはず。

どうでも良いと思われがちな握力だが、実はその強弱により糖尿病や高血圧の危険を占うことが可能だという。

米フロリダ大学のArch G. Mainous氏らが行った調査により、握力を測れば隠れ糖尿病もしくは隠れ高血圧を見つけ出せる可能性があることがわかった。
調査は、BMIが18.5~24.9と健康的な範囲内の20歳以上の男女、約1,500人を対象としたもの。

対象者の握力、血圧、血糖値を測定した結果、未診断の糖尿病もしくは未診断の高血圧と判明した人は、そうでない人に比べ握力が弱かったという。
つまり握力が弱い人は、隠れ糖尿病もしくは隠れ高血圧である可能性が高いというわけだ。同氏によれば、この傾向は年齢や性別、家族の既往歴は関係なかったとか。

痩せ太りの人は要注意

 特に痩せ太りという、一見痩せているように見えても筋肉に対して脂肪の割合が高い人、すなわち細いけどプヨプヨという人は注意が必要とのこと。
この様な人は「太っている」とか「肥満である」という自覚がなく、血圧や糖尿病に対する注意が希薄となり、知らないうちに高血圧、高血糖、異常なコレステロール値などの問題が進行しているという。 

同氏は「握力を測るというコストもかからず、体への負担も少ない方法で高血圧や糖尿病の診断ができれば大変有用」として、更なる調査研究を続けていくとしている。

wpid-PastedGraphic16-2015-08-20-11-38.png

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

糖尿病の女性は認知症になりやすい? フィンランド研究
2015年08月20日

インスリン抵抗性が言語流暢性に関連

wpid-150820_diabetes-2015-08-20-11-37.jpg

 糖尿病(2型)と認知症、これからの日本で増えていくことが予想されている病気だが、この2つが女性に限って関連がある可能性が示された。フィンランド・トゥルク大学のラウラ・L・エークブラード氏らは、国民データベースを使って調査した結果、インスリン抵抗性(糖尿病の前段階)の女性では、認知症に関係する「言語流暢(りゅうちょう)性」が悪化するリスクが高かったと、8月15日発行の欧州糖尿病学会誌「Diabetologia」(電子版)に報告した。男性ではこの関連がみられなかったという。

30~97歳の男女6,000人を調査

 インスリン抵抗性は、膵臓(すいぞう)から分泌される血糖値を下げるホルモンのインスリンが十分に働かない状態。膵臓が疲れてインスリンを作る量がだんだんと減っていき、食後高血糖、さらには糖尿病へとつながっていく。一方、言語流暢性は、言葉を素早く、適切に処理する能力のことで、認知症や統合失調症などではこの能力が低下するといわれている。

 糖尿病とアルツハイマー病や認知機能低下は、これまでの研究で関連が指摘されており、最近の研究では脳でもインスリン抵抗性が発生し、それがアルツハイマー病の引き金になる可能性があると報告されている。

 エークブラード氏らは今回、フィンランドに住む30~97歳の男女5,935人(年齢中央値52.5歳、女性55%)を対象に、インスリン抵抗性とアルツハイマー病の危険因子となるアポリポタンパクEの変異(εアレル)や認知機能との関連を調べた。

因果関係は確定できず

 その結果、女性ではインスリン抵抗性が高さと言語流暢性の低下が関連していたが、男性ではこの関連が認められなかった。また、インスリン抵抗性が高いことは、アポリポタンパクEの変異がない人の言語流暢性の低下と関連していたが、変異を持つ人では関連は認められなかったという。

 これまでの研究では、アポリポタンパクEの変異がない人は、変異を持つ人に比べてインスリン製剤を投与することによる認知機能の改善が大きいこと、その効果は男女で差があることなどが報告されている。エークブラード氏らは、こうした結果が今回の研究でも裏付けられたと結論している。

 ただし、横断研究という手法のため両者の因果関係は不明であること、言語流暢性は認知機能の低下を検知する最良の指標ではないなどと指摘。女性の認知機能低下を示す早期マーカーとしての有効性を評価するには、2回以上調査を行う縦断研究での検討が必要としている。

(あなたの健康百科編集部)
あなたの健康百科

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

糖尿病や直腸がんも 「夏バテ」ひどければ別の病気を疑うべし

wpid-PastedGraphic11-2015-08-19-11-32.png

「暑さが少し落ち着いた頃になると、疲労感を訴えてくる患者さんが増えます。“暑い盛りから続いているので、夏バテだと思っていた”とおっしゃるのですが、調べてみると別の病気が判明することがあるのです」

 こう話すのは、三木内科クリニック(東京・神田)の三木治院長。あなたの疲れ、本当に夏の暑さによるものか?

「体がだるくて、なんとなく元気が出ない」と来院した50代男性のAさん。

 検査の結果、空腹時血糖値240mg/dl、HbA1c10%の重症糖尿病とわかり、すぐに専門病院に入院することになった。実はAさん、何年も前から「血糖値が高い。再検査を」と言われていたが、自覚症状がないので、なんの手も打っていなかった。

 高血糖が続くと、それを薄めるために血管内の水分量が増え、尿量も増える。「糖尿病になるとトイレの回数が増える」とよくいわれるのは、そのためだ。

 一方で、夏は汗をよくかき、水分が失われやすいため、熱中症に陥りやすい。

「暑さで食生活が乱れ、清涼飲料水や缶コーヒーなど糖が入っている飲み物をたくさん飲みがち。だから、夏は血糖コントロールが悪くなりやすい。Aさんは『今年の夏は暑くて何度も熱中症になりかけた』と話していましたが、それは糖尿病が進んでいたからかもしれません」

■暑さに弱いバセドー病

 40代男性のBさんの受診理由は「夏バテがひどい」。細身の体形で、血圧が低く、顔色も悪い。採血すると、貧血だった。「そういえば、下血がある」とBさん。詳細な検査で、直腸がんが見つかった。

 30代女性のCさんは「暑さでフラフラし、だるい」と訴えていた。よく聞くと、以前から貧血気味だという。生理の状態から、婦人科を紹介。貧血は、子宮筋腫の出血によるものだった。

「生理がない男性は貧血の頻度が少ない分、貧血が見られる時は重篤なケースが考えられます。消化管の出血で貧血を起こしていて、Bさんのように『がんだった』ということも。女性の場合は、疲労感やだるさの原因が貧血である場合は多い。ただ、調べると子宮筋腫など婦人科の疾患が見つかることもあります」

 三木院長が研修医時代に診た20代女性のDさんは、内科の検査結果で、重度の貧血が判明。

「最初は、『夏くらいから膝が痛い』と整形外科を受診したのです。膝のレントゲン検査では異常が見つからず、疲労感もあったので、内科に紹介されてきました」

 20代女性の貧血は、珍しいことではない。しかしDさんは、さらなる検査で、貧血の背景に白血病があることが分かった。膝痛と白血病の関連性ははっきりしなかったが、「貧血は女性によくあるもの」とされていたら白血病の診断が遅れるところだった。

wpid-PastedGraphic10-2015-08-19-11-32.png

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com

◆2型糖尿病、前糖尿病に対する治療

wpid-PastedGraphic5-2015-08-18-11-26.png

地中海食は、オリーブオイルや魚介類を多く使う食事療法で、認知症などに対する効果が研究されています。2型糖尿病についても多くの研究があり、それらを検証した結果、地中海食の効果として見られたことがまとめられました。
研究班は、地中海食の効果を調べた過去の研究で、2型糖尿病患者またはそれに近い状態(前糖尿病状態)の人を対象としたものを集めて検証しました。

◆体重、総コレステロール、HDLコレステロール

次の結果が得られました。

2,824件の研究のうち、8件のメタアナリシスと5件のRCTが採用基準を満たした。
5件のメタアナリシスは、ほかの食事療法に比べて、地中海食が体重、総コレステロール、HDLコレステロールに対してよりよい効果を持つことを示した。

見つかった研究のうちで、地中海食が体重、血中の総コレステロールを減らし、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やす効果が見られました。

2型糖尿病の主な原因は食事などの生活習慣と考えられています。治療のための生活改善として、さまざまな食事療法や運動療法が研究されていますが、多くの研究がある地中海食の位置付けは、こうした結果をふまえて今後も検討されていくかもしれません。

wpid-PastedGraphic4-2015-08-18-11-26.png

看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
www.tubasa1.com