糖尿病患者の降圧目標値は? 140mmHg未満が良いらしい

この数年、血圧の管理目標値が緩くなっている。
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009年版」の降圧目標値は「135/85mmHg未満」だったが、5年後に出た14年版では「140/90mmHg未満」に修正された。

ただし、糖尿病患者については09年版の「130/85mmHg未満」から、14年版の「130/80mmHg未満」へとさらに厳格な降圧目標値が課せられている。日本人は糖尿病に関連した脳卒中が多いから、という理由だ。
一方、欧米では糖尿病患者を対象とした試験の結果から「130/80mmHg未満に積極的に降圧すべき理由が見つからなかった」ため、糖尿病患者の降圧目標値は「140/80~85mmHg未満」に緩和されている。
さらに先日、糖尿病患者への「厳格な降圧」は、逆に心血管死を増大させ
るという解析結果が報告された。

研究者は、これまでに世界で報告された49試験(被験者総数7万3738人)を解析。その結果、試験登録時に上の血圧が140mmHg未満に保たれていた糖尿病患者に対して、さらに「厳格」な降圧治療を行うと、心血管死リスクが1.15倍に上昇し、全死亡リスクも増加することが示された。
しかも降圧治療開始時点の血圧が低いほど、心血管死リスクや心筋梗塞発症リスクが増加し、降圧治療の悪影響が認められた。
一方、上の血圧が140mmHgを超えている患者の場合は、降圧治療によって全死亡リスクや心筋梗塞、脳卒中リスクが有意に低下することも示された。

研究者は「上の血圧が140mmHg未満の糖尿病患者に対する降圧治療は、心血管死を増大させるだけで利益は認められない」と結論している。
降圧目標値が130mmHg未満だと、複数の高血圧治療薬に頼らざるを得ないが、140mmHg未満なら単剤で対応できる可能性が高い。食事や運動で血圧値を改善しようという希望も持てる。
ようするに、医者のやる気より患者本人のやる気を引き出す「達成可能な目標値」が望ましいのだ。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
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糖尿病による下肢切断は年間2万本
「足ならなんでも診る」専門クリニックが切断に歯止めをかける!

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糖尿病による足の切断は年間2万本shutterstock.com

 東京・表参道にある「足の診療所」は、足の痛みや変形に特化した、日本で初めての足専門クリニックである。米国のポダイアトリー(足病学)に基づき、形成外科、整形外科、皮膚科、血管外科などのドクターたちがチーム医療で診療にあたっている。
 世界では、30秒に1本の足が、糖尿病が原因で切断されているという。日本国内でも、糖尿病による下肢切断は、毎年2万本に及ぶといわれている。
 しかし糖尿病患者の全てが下肢切断に至るわけではない。下肢切断に至るには、糖尿病以前の原因があるという。

足のトラブルを早期に発見し切断を防ぐ

 院長の桑原靖氏はもともと形成外科医で、治りにくい傷(創傷)をいかに治すかを追究する「創傷治癒学」が専門である。大学卒業後は大学病院の形成外科に勤務し、糖尿病性足潰瘍の手術を数多く担当した。
 「糖尿病で下肢切断に至った患者さんの足を診ると、靴擦れや巻き爪、たこ、外反母趾といった足のトラブルを抱えています。糖尿病の患者さんは神経障害のため足の感覚がなく、きつい靴をはく傾向にあり、傷ができやすくなるのです。そうしてできた傷から細菌が感染すると、数日でその部分が壊死し、発見が遅い場合は切断せざるをえなくなってしまう場合が多くあります」
 つまり、もともと足のトラブルがあったところへ糖尿病の知覚症状や血流障害が「合併」し、傷が重症化して潰瘍や壊疽を引き起こし、切断に至るのだ。
 こうした小さな足のトラブルを早期に発見して治療すれば、下肢切断を減らすことができるのではないかと桑原氏は考えた。

足のプライマリケアが不足している

 しかし、今の日本では、足の病気のなかでも、糖尿病由来の細菌感染、壊疽、潰瘍といった重症例を診る医師はいるのに、その原因となる靴擦れや胼胝、外反母趾、巻き爪等の「小さな足のトラブル」を診る医師はほとんどいない。本来充実させるべき足の「プライマリケア」の部分が圧倒的に不足している。
 また、そもそも日本人は、足の健康に対する意識が薄い。足に不調を抱えていても、「これくらいなら病院に行くほどでもない」「痛いけど我慢できる」と、放置してしまいがちである。また、皮膚科に行ったらよいのか、それとも整形外科か、「どの科を受診したらよいのかわからない」という点も、病院に行きにくい大きな要因のひとつになっている。

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糖尿病 肥満や遺伝、運動不足など原因 偏った食生活改善を
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神経障害、網膜症、腎症 合併症に気をつけて
 糖尿病は合併症が怖い、と聞く。もし血糖値が高くなったらケーキはダメか、揚げ物もよくないのか……。どんな生活を送ればよいのだろう。糖尿病について、カメリア内科・糖尿病内科クリニック(松山市東石井5)の井上靖浩院長に聞いた。【聞き手は毎日新聞松山支局長・三角真理】
 --糖尿病とはどんな病気ですか。
 血液の中の糖が増える病気です。体に取り込んだ糖をうまく利用できなくなり、たまってしまうのです。本来、糖は体のエネルギーになる大事なものなのに、それをうまく使えず、血糖値が上がるのです。糖尿病で怖いのが合併症です。
 --血糖とはなんですか。
 血液中のブドウ糖のことで、その量を血糖値といいます。うまく糖を利用できず、ためこんでしまう人は高血糖になります。
 --高血糖になる原因は何ですか。
 血液中のブドウ糖を筋肉などに取り込み、血糖を下げる働きがあるインスリンというホルモンが出ない、または働きが悪くなることです。
 --インスリンが出なかったり、働きが悪くなる、その原因は。
 一つ目は肥満です。肥満によってインスリンの効果が出にくくなることです。二つ目は遺伝的な体質です。お父さんやお母さんに糖尿病の方がいる場合は注意です。三つ目は食事の内容。四つ目は運動不足。このあたりが主な原因です。
 --食事が原因になるようですが、どんな食事がよくないのでしょう。
 食べ過ぎとか、カロリーが多いというのではなく、お菓子ばかり食べているとか、糖質のたくさん含まれたジュースをいつも飲んでいるなど、食事内容の偏りがよくありません。こうした食生活によって子供でも糖尿病になっている例が少なくありません。
 --子供も糖尿病になるのですか。
 はい、なります。
 糖尿病には、大きく三つの種類があります。
 まず1型糖尿病。これは、突然起こります。10代前半の子供に多い原因不明の糖尿病です。
 二つ目は、2型糖尿病。食事や運動などの生活習慣の乱れが原因で起こる、一般に言われる糖尿病です。
 三つ目は、薬やその他の病気、妊娠に伴う糖尿病があります。
 --糖尿病は自覚症状はありますか。
 多くの人では、強い自覚症状はありません。自覚症状がある場合は、口が乾く、体重が減る、おしっこが近くなる、傷が治りにくい、風邪を引きやすいといった症状です。血糖が多くなりすぎると、疲れやすく、突然倒れてしまうこともあります。
 --自覚症状があまりないということは、どうやって気付くのでしょうか。
 健康診断などで、検査を受けて気付くことが多いです。血糖値や、HbA1cの数値を測ってみて、分かることが多いのです。
 ご両親の病歴などを調べ遺伝的に自分が糖尿病になりやすいかどうかを知っておくことも必要です。おしっこが近くなる、食べる量は変わっていないのに体重が減るなどの症状が出ないか気をつけてください。
 --合併症が怖いとおっしゃいましたが、合併症はどのようなものがありますか。
 三大合併症というものがあり、患者さんに「しめじ」と説明しています。「し」は神経障害、「め」は目の病気、つまり網膜症。「じ」は糖尿病性腎症。
 神経障害は手足のしびれです。じんじんとしびれたり、痛みが出たりします。これを放っておくと今度はしびれが鈍くなる、つまりしびれ、痛みに気付きにくくなります。これが怖いのです。痛みの信号が伝わらないと、傷ができても気付きにくくなり、悪化して、感染症やえそになります。足を切断しなければならないこともあります。体中に菌が回り、生命にかかわることもあります。
 --網膜症はどのようなものですか。
 眼底出血を起こすのですが、これは結膜炎のように白目が赤くなるのではありません。自覚症状もなく、黒目の奥の出血なので眼科で検査しないと眼底出血は発見できません。進行すると失明につながります。
 --糖尿病性腎症はどのようなものですか。
 腎臓の働きが悪くなり、ひどくなると体がむくむ、息切れしやすい、疲れやすいといった症状が出ます。人工透析が必要になることもあります。
 合併症はこれらの三つだけではありません。糖尿病になると、体の抵抗力が落ちることで肺炎を起こしたりします。また動脈硬化が起こるため、心筋梗塞(こうそく)、心筋症、脳卒中を引き起こしやすくなります。がんになりやすいことも分かってきています。
食事療法、運動療法、薬物療法 根気よく治そう
 --治療には大きく三つあるそうですね。
 食事療法、運動療法、薬物療法の三つです。
 食事療法と運動療法は、どの段階にある糖尿病患者さんも行うのが望ましい基本的な治療です。糖尿病が進行しているときは薬物療法も必要になります。
 --食事療法はどのようにしますか。
 「糖尿病の人は食べてはいけない」と思っておられる方が多いと思いますが、そうではありません。人間は、その人の年齢や体重、仕事などに応じて必要なカロリーがあります。きちんと食べないとむしろ体によくないのです。問題は食事の内容です。お菓子ばかり食べていたり、最近出回っている糖質制限の食品ばかり、というのはよくないです。牛丼だけ、ラーメンだけ、というような単品の食事もよくありません。バランスよく食べましょう。
 --運動療法は。
 適度な運動を毎日続けることです。週1回、長時間、思いきりハードな運動をしても効果はありません。室内でできる運動を、1日1分でもよいので毎日続けることが大切です。ただし、主治医とよく相談して行ってください。たとえば網膜症の人は筋トレはやってはいけません。心臓が悪い人が踏み台昇降などをすることも心臓に負担がかかり危険です。
 薬物療法は主に飲み薬の服用です。さらに病気が進行している場合は、医師の指導の下、インスリンの注射を行います。薬も注射も、病状が落ち着けばやめることが可能です。
 --糖尿病の治療は、食事や運動など根気のいる生活を送らなければなりません。家族が配慮することはありますか。
 患者さんの近くでスナック菓子をボリボリ食べたりしないことです。見たら食べたくなり、本人は大変つらくなります。
 またテレビや雑誌で知った情報をうのみにして安易なアドバイスをしないことです。「糖質制限食品って、ええみたい」「健康食品たくさん食べて治ったらしいわ」など聞きかじりの情報をそのまますすめたりすると、患者さんを混乱させます。
 専門医の下で、正しく無理のない方法で乗り越えていきましょう。

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低糖質食、もっと身近に 増えるメニュー
コンビニや外食、普段から肥満・糖尿病予防
 

2016/3/31付 日本経済新聞 夕刊

 過食や運動不足などの生活習慣による肥満や糖尿病の対策として「糖質制限食」や「低炭水化物食(ローカーボ)」をうたった商品や外食メニューが増えてきた。課題だったおいしさも改善の兆しがあり、ダイエット食として限定的だったかつてのイメージは変わりつつある。気になる人は試してみてもよいだろう。

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  3. キッチン源喜のランチの例。おかずの糖質量は15~18グラム

 グラフィックデザイナーの小寺聡美さんが2014年に開いた「キッチン源喜」(岐阜県神戸町)は、低糖質メニュー専門のレストランだ。血糖値を上げる原因となる白米や小麦粉、砂糖は一切使わない。主食には玄米を出し、パウンドケーキはおからを原料にする。パンやピザの原料は大豆粉だ。甘みは体内に吸収されないラカンカで付ける。

 ランチ(税別で1200円)はおかずだけなら糖質量は15~18グラム。一般的なローカーボの糖質量は1食あたり20~40グラムとされ、日本人が平均的に摂取する同約90グラムの半分以下だ。
 デザイン会社に勤めていた小寺さんはジムに通い、ダイエットの指導も受けた。2カ月で10キログラム減量できた理由を調べ糖質制限食の効果と納得し、自ら店を持った。最近は関東や関西地方から店を訪れる人もいる。小寺さんは「低糖質食というと物足りない印象が強かった。それを覆して広めていきたい」と話す。
 炭水化物から食物繊維を除いた主な成分が糖質だ。生命を維持する重要なエネルギー源だが、糖尿病患者や予備軍にとって血糖値を高めるやっかいな相手だ。
■論文で示され脚光
 糖質制限は1970年代に米国で発案され、効果的なダイエット法として日本に紹介された。糖質量が1食あたり7グラム以下の厳しい方法もある。おにぎり1個に含まれる糖質は約40グラム。ごはんを主食にする日本人に、糖質の代わりに脂質やたんぱく質を増やす食事は長続きしにくい。中断して体重が元に戻ってしまう例も多く、定着しなかった。
 再び注目され始めたのは10年ごろ。低糖質食品の種類が増え、血糖値を高めない甘味料も受け入れられるようになった。北里研究所病院の山田悟糖尿病センター長は「糖質制限食で血糖値を改善する研究が海外で相次ぎ、論文で明確に示された影響も大きい」と話す。

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  3. 食・楽・健康協会に加盟する企業は様々な低糖質食品を販売している

 山田センター長は糖尿病患者の食事療法を従来のカロリー制限から糖質制限に切り替えた。食品や流通業界などに低糖質の食品やメニューの開発を呼びかけ、13年には連携組織「食・楽・健康協会」を設立した。

 タクシー大手、日の丸交通(東京・文京)は15年、同協会に参加するローソンと協力し「メタボ社員ZEROプロジェクト」を3カ月間試行した。健康診断で注意を受けた運転手40人にローソンのポイントカードを配布。小麦の外皮(ふすま)を使い糖質量を1個約2グラムに抑えたパンを買うと、ポイントが加算される。
■飲み薬並みの効果
 都内のタクシー運転手の平均年齢は58歳で、コンビニエンスストアで弁当を買う人も多い。運動不足も重なり生活習慣病に陥りやすい。健康に問題を抱えての運転は重大な経営課題だ。試行の結果、おにぎりや弁当からふすまのパンやサラダを食べるメニューに代わり、血糖値が下がる傾向があった。食後の血糖値が高くなる5人では飲み薬並みの効果がみられた。日の丸交通の西川浩康課長代理は「予想以上の成果」と驚く。
 食・楽・健康協会の協力企業は糖質を減らした冷凍のパスタやビール、プリンなどの商品を販売中だ。種類を増やして生活習慣病の予防につなげたい考えだ。

◇     ◇

■長期的な効果は未知数

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 1日の糖質量が130グラム以下という糖質制限食を長期間継続したデータは国内に少ない。運動や食事など様々な生活習慣の条件を整えて多くの市民の健康を調べる研究が難しいためだ。永寿総合病院(東京・台東)の渥美義仁糖尿病臨床研究センター長は「糖質制限食が結果としてカロリー摂取も抑制している可能性もある。どちらの効果なのか簡単には判別できない」と解説する。

 糖質制限食に学会の基準やルールはなく採用しやすい半面、推奨する医師らによって方法がまちまちになる課題もある。極端に糖質を減らすと低血糖で意識を失う危険もある。
 糖質に代わるエネルギー源として、脂質とたんぱく質の割合が増えると、人によっては糖質制限食を「油っぽい」と感じてしまう。脂質の成分もいくつか種類があり、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く摂取すると、動脈硬化を進行させる悪玉コレステロールを増やすリスクが高まる。脂質成分の選択が重要になる。
 また、腎臓の機能が落ちている人はたんぱく質の割合が高くなると腎臓に負担がかかってしまう。健康な人が試す場合には大きな問題はないが、糖尿病患者の場合は注意が必要だ。渥美センター長は「担当医と相談する必要がある」と強調する。
(編集委員 永田好生)

[日本経済新聞夕刊2016年3月31日付]

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糖尿病網膜症と夜間頻尿が相関

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 日本人の2型糖尿病患者を対象とした研究で、細小血管合併症のうち糖尿病網膜症が、夜間頻尿と独立して関連していたことを、愛媛大学の古川 慎哉氏らが報告した。愛媛県内の関連病院による多施設共同研究(道後Study)において、2型糖尿病患者の細小血管合併症と夜間頻尿の関連を検討した結果、明らかになった。Urology誌オンライン版2016年3月16日号に掲載。

 本研究では、日本人の2型糖尿病患者731例に自記式質問票を用いて情報を収集。オッズ比は、性別、年齢、BMI、糖尿病罹病期間、現在の喫煙状況、現在の飲酒状況、高血圧、脳卒中、虚血性心疾患、HbA1cで調整した。なお、診断は以下に従い判断した。
・夜間頻尿:「夜寝てから朝起きるまでに、排尿するために通常何回起きますか?」という質問に1回以上と回答した場合
・糖尿病神経障害:「神経症状」「アキレス腱反射消失」「振動覚異常」のうち2項目以上を満たした場合
・糖尿病腎症:「推算糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73m2未満」あるいは「尿アルブミン/Cr比34mg/mmolCr以上」、もしくはどちらも該当した場合
・糖尿病網膜症:眼科専門医により診断

 主な結果は以下のとおり。

・夜間頻尿の有病率は80.4%であった。
・糖尿病網膜症と夜間頻尿との独立した正の相関が示された(調整オッズ比2.39、95%CI:1.08~6.11)。
・糖尿病腎症と糖尿病神経障害は夜間頻尿と関連がみられなかった。

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糖尿病の薬「メトホルミン」を使うとビタミンB12不足になる?

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糖尿病の治療薬の1つにメトホルミンがあります。その副作用の中にはビタミンB12の吸収不良が報告されており、貧血末梢神経障害を起こすことが考えられます。長期的にメトホルミンを使った場合の影響を調べた研究を紹介します。

◆2,155人のビタミンB12量を比較
研究チームは27カ所の研究施設における、血糖値や肥満などといった基準に当てはまる2,155人を対象としました。対象者を、メトホルミン(1日850mg)を服用するグループ(1,073人)と糖尿病に対して効果のないプラセボを服用するグループ(1,082人)に振り分けました。
メトホルミンを服用したグループとプラセボを服用したグループでのビタミンB12量を比較することで、その影響を調査しました。

◆メトホルミンを服用するとビタミンB12量が減少する人が多かった
調査の結果、以下のことが分かりました。
低ビタミンB12(203 pg/ml以下)は、調査から5年の時点で、プラセボを服用したグループよりもメトホルミンを服用したグループでしばしば見られた(メトホルミン:4.3%、プラセボ:2.3%、P=0.02)。しかし、調査から13年の時点では差が見られなかった(メトホルミン:7.4%、プラセボ:5.4%、P=0.12)。
つまり、プラセボを服用した人と比較して、メトホルミンを長期的に服用した人では、5年後の時点でビタミンB12不足になる人が多いことが示されました。13年後の時点では差が見られませんでした。
ビタミンB12は魚類や貝類に多く含まれているため、ビタミンB12の不足が見られた場合には食生活を意識することで改善することも出来るかもしれません。また、医師や薬剤師と相談の上で治療薬を変える選択も考えられます。
メトホルミンを使うときに注意するべき点として、この結果を参考にできるかもしれません。

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砂糖、人体に危険…過剰摂取が社会問題化、含有飲料への課税「砂糖税」広がる


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「Thinkstock」より

 今回は「砂糖税」のお話です。英国のジョージ・オズボーン財務相は、増加し続ける小児肥満症患者を減少させるための取り組みとして、飲料に含まれる過剰な糖分に対する課税を2年後に導入すると発表したそうです。対象となるのは、100ミリリットル当たり5グラム以上の糖分を含む飲料。同様の課税はフィンランドやフランス、メキシコなどでも行われています。

 この動きについて、極論君は大賛成です。「砂糖の摂り過ぎで肥満になり、そして糖尿病などの生活習慣病を併発し複数の合併症に襲われ、それらを公的保険でカバーしているのだから、砂糖を含む飲料水に課税するのは至極当然。その課税により砂糖含有飲料の消費量が減れば、健康という視点からは文句の付けようがなく、また得られた税収を医療費に補填すれば切迫している医療費にとってもありがたい話である」という論調です。

 一方で非常識君は、「どうせ人は死ぬのだから、何を食べようが自由で、それに健康という観点から課税されても不本意だ。そして肥満者全員が糖尿病になるわけでもなく、不公平でもある」という論調です。
 たばこによる体への害は、日本でもやっと広く認知されるようになりました。喫煙率は昭和40年代の喫煙率は男性が約80%、女性が15%でしたが、最近は男性が30%、女性が10%と減少しています。
 しかし、海外のたばこのパッケージに描かれる過激とも受け止められるような注意喚起のメッセージは、日本には浸透していません。喫煙者全員が肺がんになったり呼吸器疾患を併発するとは限りませんが、国民の健康という観点からは、たばこは吸わないに越したことはないと思われます。つまり、たばこを吸って健康になるという人はまったくいないか、ごくまれということです。

 砂糖も実は悪役ですが、炭水化物も同様です。
 炭水化物にはザックリと3種類あります。まずは主食である米、麦、そば、うどん、パスタ、パン、餅などです。そして次はデザートなどの甘いもの、そして3つ目は果物です。炭水化物制限を始めたので主食を取らずに果物をたくさん食べている、という人がいますが、これは炭水化物制限という視点からは、まったくの間違いです。

何が日本全体にとって有益か

 砂糖税の意図することが、砂糖を減らしたいのか、または炭水化物の総量を減らしたいのかがはっきりしません。砂糖だけが健康にとって害であれば、砂糖税は理屈に合っています。ところが炭水化物の総量を減らす目的であれば、主食や果物にも課税すべきという意見が出ますね。

 また、極論君は「砂糖含有飲料の自動販売機があちこちに、ましてや病院内にあるのはおかしい」と主張しています。確かに院内禁煙という施設はどんどんと増えていますが、院内で砂糖含有飲料の販売禁止という病院は聞いたことがありません。

 非常識君は「たばこだけが悪者にされているような気がする」とも漏らしています。「本当に害であれば法律で禁止すべきだと思う」と本心を吐露しました。確かにそうですね。法律で認められている嗜好品を適切な場所で自分の責任で摂取することは、実は誰にもとがめられることではないですね。

 しかし、常識君は言います。「もしも税金を課して、体に害になるものの値段が上がれば、それらを摂取する人が減り、その摂取する割合も減るので、国民全体の健康には有益だ」という論調です。

 常識君はもっと大人の発言をします。「たばこや砂糖や炭水化物で生計を立てている人もいるのだから、かれらの次の職を探さず、健康のためだからと課税額を上げて市場が縮小することは、国家全体として有益かは疑問だ」という発言です。そうですね。確かにいろいろな視点がありますね。

(文=新見正則/医学博士、医師)

●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務
幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal<

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2型糖尿病等の生活習慣病の予防にウンシュウミカンが有用か-農研機構

浜松市(旧三ヶ日町)における10年間の追跡調査から

農業・食品産業技術総合研究機構は3月23日、浜松市での10年間の追跡調査の結果、β-クリプトキサンチンを多く含むウンシュウミカンの摂取が2型糖尿病等の生活習慣病の予防に有用である可能性が示唆されたと発表した。
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画像はリリースより

欧米を中心とする最近の栄養疫学研究から、果物・野菜の摂取が、がんや循環器系疾患の予防に重要であることが明らかにされつつある。また、これらの生活習慣病の発症に酸化ストレスの関与が示唆されるようになり、果物・野菜に多く含まれるカロテノイド等の抗酸化物質が酸化ストレスを軽減することで様々な生活習慣病の予防に有効であると考えられるようになってきた。

農研機構の果樹研究所は、浜松医科大学健康社会医学講座、浜松市(旧三ヶ日町)と合同で2003年度から継続して栄養疫学調査(三ヶ日町研究)を実施。三ヶ日町研究では、ウンシュウミカンに多く含まれるβ-クリプトキサンチンや緑黄色野菜に多いβ-カロテン、葉物野菜に多いルテインなどのカロテノイド色素とさまざまな健康指標との関連を調査している。
今回は、調査開始から10年間で追跡調査が完了した910名について、β-クリプトキサンチンをはじめとする血中カロテノイド値と2型糖尿病等の生活習慣病の発症リスクとの関連について縦断的に解析したという。

2型糖尿病の発症リスク、統計的に有意に低く

まず、調査開始時に既に2型糖尿病(診断基準:空腹時血糖値が126mg/dL以上、または糖尿病治療薬を服薬中の者)を発症していた被験者を除いて、血中β-クリプトキサンチン濃度について、低いグループから、高いグループまでの3グループに分け、各グループでの2型糖尿病の発症率を調査。その結果、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける2型糖尿病の発症リスク(ハザード比)は、低濃度のグループを1.0とした場合0.43となり、統計的に有意に低い結果となったという。

また同様に、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける脂質代謝異常症の発症リスクは、低濃度のグループを1.0とした場合0.66となり、統計的に有意に低い結果となった。さらに、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける非アルコール性肝機能異常症の発症リスクは、低濃度のグループを1.0とした場合0.51となり、統計的に有意に低い結果となった。どの関連も、喫煙・運動習慣や総摂取カロリー、アルコール摂取量などの影響を取り除いても統計的に有意だったという。

なお、調査開始時の血中β-クリプトキサンチン濃度の平均値は、低グループでおよそ0.5μM、中グループで1.5μM、高グループで3.5μMだった。それぞれのウンシュウミカンの摂取量は、低グループでは毎日は食べていない、中グループでは毎日1~2個、高グループでは毎日3~4個食べていたという。

農研機構果樹研究所では、今回の成果を活用し、ウンシュウミカンの機能性訴求ポイントを増やすために産地と検討を進めていくとしている。(横山香織

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糖尿病治療薬の薬理作用や副作用は?
診断基準(血糖値やHbA1cの数値)もあわせてチェックしましょう

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糖尿病は血液中の糖濃度(血糖値)が高くなる病気です。血糖は細胞に取り込まれることで体を正常に動かすためのエネルギー源になっているのですが、糖尿病ではなんらかの原因で血液中の血糖が高い状態が続きます。
血糖値が高い状態が続くと失明や壊疽、心筋梗塞脳梗塞など恐ろしい合併症のリスクが高まります。この記事では体の中の糖の働きや糖尿病の種類、治療薬や合併症について解説していきます。

◆糖の働きとインスリンの関係

血糖とは血液中のブドウ糖のことです。白米やパンなどの炭水化物や果物やお菓子などの糖分はブドウ糖が繋がってできたもので、摂取して消化器の酵素で分解されることで最終的にブドウ糖になり小腸から吸収されます。吸収されたブドウ糖は筋肉細胞、脳細胞、神経細胞などに取り込まれてそれらの機能を保つためのエネルギー源となるのです。この細胞に取り込まれる過程に必要なのがインスリンです。

インスリンは、膵臓のランゲルハンス島という組織のβ細胞で作られる体内ホルモンのひとつです。食事することで血糖が上がるとβ細胞からインスリンが分泌されて肝臓に流れていきます。そこで、インスリンはブドウ糖をグリコーゲンという物質に変えて肝臓に蓄えるために働きます。その後、全身に作用し残りのブドウ糖が細胞に取り込まれるために働くのです(ちなみに脳や神経はインスリンがなくてもブドウ糖を吸収することができます)。
すぐに使われないブドウ糖はインスリンの働きで脂肪細胞に蓄えられ脂肪の合成を促進します。空腹時や就寝中など長時間に渡り糖が摂取されない状態になると肝臓で蓄えられていたグリコーゲンが分解され糖となり血中に放出されます。空腹時の血糖値を調節しているのもインスリンです(インスリンの基礎分泌)。

健常人の1日のインスリン分泌量の約半分がこの基礎分泌で、残り半分が食事に反応して分泌されるインスリン(追加分泌)と言われています。こうしたインスリンの働きで血糖値は一定に保たれます。
糖尿病は、β細胞から分泌されるインスリンの量が少なかったり、インスリンがうまく働かないことで高血糖の状態が続く病気です。

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糖尿病の診断

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糖尿病は血糖値やHbA1cの数値を見て判断します。

HbA1cは糖化ヘモグロビンともいい、血液中に酸素を運ぶ役割の赤血球とブドウ糖が結合したものです。血糖値が高いとブドウ糖が血中に余りヘモグロビンと結合する割合が高くなります。ヘモグロビンの寿命は4ヶ月と言われているので、HbA1cの数値はヘモグロビンの寿命の半分くらいの期間の血糖値の平均を反映します。つまり血液検査をした日の1~2ヶ月前の血糖の状態が推定できます。

 ①早朝空腹時血糖値126mg/dl以上
 ②75gOGTT(Oral glucose tolerance test:経口ブドウ糖負荷試験)で2時間値200mg/dl以上
 ③随時血糖値200mg/dl以上
 ④HbA1cが6.5%以上
①~④のいずれかが確認された場合は「糖尿病型」
 ⑤早朝空腹時血糖値110mg/dl未満
 ⑥75gOGTTで2時間値140mg/dl未満
⑤および⑥の血糖値が確認された場合は「正常型」

上記の「糖尿病型」「正常型」いずれにも属さない場合は「境界型」と判定します。
[ OGTT(経口ブドウ糖負荷試験2時間値):経口でブドウ糖を摂取し血糖の変動をみる試験 ]

糖尿病の種類

日本糖尿病学会によると、糖尿病の種類は、糖尿病になる原因で4つに分けられます。

1型糖尿病は自己免疫反応の異常やウィルス感染などにより膵臓のβ細胞が攻撃されてインスリンを出す機能が破壊されてしまう状態です。2型糖尿病は生活習慣病とも言われていて、食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足、ストレスなどの環境的要因が引き金になり、インスリンの反応が悪くなったり(インスリン抵抗性)インスリンが不足した状態になります。その他、遺伝子の異常や妊娠によってインスリンの効きを抑えるホルモンが増えてしまう妊娠糖尿病もありますが日本の糖尿病患者の95%以上が2型糖尿病患者と言われています。

糖尿病と合併症

糖尿病の名前の由来は、インスリンがうまく働かなくなり多くなった血糖を体から排泄するために腎臓が働き、尿中の糖(尿糖)が高くなることで名付けられました。このようにインスリンの作用不足が続き高血糖が続くことで様々な合併症が起こる可能性があります。

糖尿病の合併症には「急性合併症」と「慢性合併症」があります。
急性合併症は血糖値が著しく高くなった時に起き、意識障害や昏睡の症状が出て、速やかにインスリンの点滴や注射をするなど適切な処置がされなかった場合は死にいたることもあります。

ペットボトル症候群で知られる清涼飲料水ケトーシスも吐き気や意識障害が起きますが、これも慢性的に多量の糖を摂取することで急激に血糖値が上がった結果起こるものです。また高血糖の状態が長く続くと体中の血管が傷つき、慢性合併症が起こる可能性があります。細い血管が傷つくと、網膜症や腎症、神経障害や壊疽が起こります(糖尿病細小血管症)。

糖尿病網膜症は後天性視覚障害原因の約2割を占めるとされ、成人の視覚障害原因疾患の第2位です。視覚障害は生活の質(QOL)を著しく下げるため糖尿病と診断されたら眼科を受診し糖尿病網膜症の有無を診断することが推奨されています。また血管が傷つき固くなると太い血管にも影響が出て、冠動脈疾患(狭心症心筋梗塞)や脳血管性疾患(脳梗塞脳出血)を発症しやすくなります。(糖尿病大血管症)大血管障害の発症リスクは糖尿病を持たない人と比べて2~4倍で予後も悪いと言われています。

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◆治療薬について

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糖尿病の治療の目的は血糖をコントロールし、合併症を起こさないようにすることが目的です。

2型糖尿病のような生活習慣が糖尿病の原因の場合は、治療薬を始める前に医師が患者ごとに食事の摂取エネルギーを決め管理栄養士などから食事指導を受ける食事療法やウォーキングなどの有酸素運動を取り入れる運動療法を行います。しかし2~3か月経っても改善されない場合は治療薬を使用していくことになります。

血糖をコントロールする治療薬としては大きく分けて

  • 血糖降下薬による治療(インスリンを除く)
  • インスリンによる治療

があります。

現在、糖尿病治療に使われる血糖降下薬(インスリンを除く)は主に8種類ほどあり、一般的には患者の血糖値や症状、体質などに合わせた治療薬が選択されます。経口薬が主ですが最近では皮下注射(皮膚と筋肉の間の脂肪に打つ)タイプもあります。

インスリンによる治療は、インスリンを出すβ細胞が破壊され基礎分泌や追加分泌がほぼ無い状態にある1型糖尿病糖尿病昏睡、糖尿病を合併した妊娠などで適応となります。また著しい高血糖(空腹時血糖250mg/dl以上、随時血糖350mg/dl以上 など)や経口の血糖降下薬では血糖コントロールができないなどの場合にはインスリンによる治療が適応となります。

  • 血糖降下薬による治療

 ① スルホニル尿素薬(SU剤)(主な商品名:オイフルコン®、ダオニール®、グリミクロン®、アマリール® など)
膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進させ血糖値を下げる働きをします。糖尿病の合併症で特徴的な網膜症、腎症などの細小血管症を抑制する効果もあるとされ、年齢などを問わず広く使われている薬の一つです。長い期間の継続使用により血糖が次第に上昇してくる(二次無効)こともあるとされます。また、経口血糖降下薬の中で低血糖に特に注意が必要な薬の一つです。

 ② ビグアナイド薬(主な商品名:メトグルコ®、グリコラン® 、ジベトス®など)
肝臓での糖新生の抑制、末梢での糖の利用促進、腸管からの吸収の抑制などにより血糖改善作用をあらわします。本剤の中でもメトホルミン塩酸塩(主な商品名:メトグルコ®、グリコラン® など)には大血管症の抑えるなどの効果も期待できるとされています。注意すべき副作用として頻度は非常に稀とされていますが、乳酸が体に溜まり体が酸性に傾くことで吐き気や下痢、だるさなどがおこる乳酸アシドーシスという症状があります。

 ③ αグルコシダーゼ阻害薬(主な商品名:グルコバイ®、ベイスン®、セイブル® など)
食事などで摂取した糖が腸で分解されるのを抑制し吸収を遅らせる作用があります。食後の高血糖を抑える働きがありますが通常、食直前に服用しないと効果が出にくいので服用のタイミングが重要となります。
ショ糖(砂糖)などの二糖類の分解を抑制するため、本剤の服用中における低血糖時は通常、ブドウ糖の摂取が必要となります(ブドウ糖は糖の中でもこれ以上分解されない単糖の一種)。副作用として放屁や下痢などが起こることがあります。

 ④ チアゾリジン薬(主な商品名:アクトス® など)
末梢組織(筋肉組織、脂肪組織)や肝臓におけるインスリン抵抗性の改善により、末梢における糖の取り込みや利用の促進、肝臓における糖の放出の抑制により血糖改善作用をあらわします。ピオグリタゾン塩酸塩(主な商品名:アクトス®)には血糖を下げる作用の他、脂質代謝への有効的な作用も期待できるとされています。
注意すべき副作用として、本剤の服用中は体に水が溜まりやすくなったり、脂肪細胞への作用により体重増加などがあらわれる場合があります。浮腫などがあらわれたり、頻度は非常に稀ですが心不全などを引き起こす可能性もあり注意が必要です。

 ⑤ 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系薬剤)(主な商品名:スターシス®、ファスティック®、グルファスト®、シュアポスト® など)
SU剤と同じ様にインスリン分泌を促進する薬剤ですが、SU剤に比べてより効果が速やかにあらわれ、食後高血糖がみられる症状には特に有用な薬剤の一つとされています。一般的に低血糖の副作用はSU剤より少ないとされています。速効型で食後高血糖の改善を主な目的とするため通常、食直前に服用します。

 ⑥ DPP-4阻害薬(主な商品名:グラクティブ®、ジャヌビア®、エクア®、ネシーナ®、トラゼンタ® 、テネリア®、スイニー®、オングリザ®
食後に小腸や十二指腸から分泌されるインクレチンという体内物質があります。インクレチンは食後の高血糖に合わせて膵臓からインスリンの分泌を増やしたりグルカゴンの分泌を減らすことで血糖を下げていますが、DPP-4という酵素ですぐに分解されてしまうホルモンです。本剤はDPP-4を阻害することでインクレチンの作用を長持ちさせます。血糖値に依存してインクレチンは働くので本剤の単独投与による低血糖の危険性は一般的に少ないとされています。

 ⑦ GLP-1受容体作動薬(主な商品名:ビクトーザ®、バイエッタ®、ビデュリオン®、リキスミア®、トルリシティ®
インクレチンと同じ様な作用をもち、DPP-4にも分解されにくい構造を持った薬剤です。体重増加への懸念が少なく、むしろ体重を減少させる効果もあるとされています。本剤は皮下注射製剤であり投与開始後に吐き気や下痢といった消化器症状などあらわれることがあります。インクレチンに関連する糖尿病治療薬にはDPP-4阻害薬がありますが、本剤はDPP-4阻害薬に比べ高い血糖降下作用をもつとされています。

 ⑧ SGLT2阻害薬(主な商品名:スーグラ®、ルセフィ®、フォシーガ®、アプルウェイ®、デベルザ®、カナグル®、ジャディアンス®
SGLT2は腎臓の近位尿細管にあるタンパク質の一つです。近位尿細管では糖などを再度血液へ戻す(再吸収)作業を行っています。この作業の中でSGLT2はブドウ糖を栄養分として細胞内に取り込む役割を担っています。本剤はSGLT2を阻害することで、尿糖として体外に糖を排出する作用をあらわします。
本剤は服用中には、尿中の糖が多くなるので膀胱炎などの尿路感染症に注意が必要です。また多尿によって脱水がおこることがあり、(医師から水分制限を指示されている場合などを除き)一般的に水分をこまめに摂取することが大切です。

  • インスリンによる治療

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膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンの作用不足を補う目的で使用されます。
体内で分泌されるインスリンにおいては、グリコーゲンを肝臓に蓄えることで空腹時の低血糖などを予防する働きをしますが、インスリン製剤にはそのような働きはなく皮下注射などの投与後、毛細血管から全身に循環していくのでインスリン製剤使用中の低血糖症状には十分注意する必要があります。
インスリン製剤はそれぞれ作用時間などに違いがあります。以下が現在、主に使用されているインスリン製剤になります。

 ① 速効型インスリン製剤(主な製剤名:ノボリン®R注フレックスペン®、ヒューマリン®R注ミリオペン® など)

 ② 超速効型インスリン製剤(主な製剤名:ノボラピッド®注フレックスペン®、ヒューマログ®注ミリオペン®、アピドラ®注ソロスター® など)

 ③ 中間型インスリン製剤(主な製剤名:ノボリン®N注フレックスペン®、ヒューマリン®N注 ミリオペン® など)

 ④ (速効型に中間型を組み合わせた)混合型インスリン製剤(主な製剤名:ノボリン®30R注フレックスペン®、ヒューマリン®3/7注ミリオペン® など)

 ⑤ (超速効型に中間型を組み合わせた)混合型インスリン製剤(主な製
剤名;ノボラピッド
®30ミックス注フレックスペン®、ヒューマログ®ミックス25注ミリオペン®、ノボラピッド®50ミックス注フレックスペン® 、ヒューマログ®ミックス50注ミリオペン® など)

 ⑥ 持効型溶解インスリン製剤(主な商品名:トレシーバ®注フレックスタッチ® 、ランタス®XR注ソロスター®、レベミル®注フレックスペン® 、ランタス®注ソロスター®、インスリングラルギンBS注ミリオペン®「リリー」など)

「速効型」「超速効型」のインスリン製剤は主に「追加分泌」の補充で使用されます。「中間型」「持効型」のインスリン製剤は主に「基礎分泌」の補充で使用されます。「混合型」のインスリン製剤は、「速効型」又は「超速効型」に一定量の添加物を加えたり中間型を組み合わせた製剤で、「追加分泌」と「基礎分泌」を同時に補充することができます。
これらの製剤を患者の血糖パターンや生活スタイルなどにより使い分け、健常人のインスリンパターンを再現することで血糖をコントロールします。
SU剤の長期使用によって血糖改善作用が認められなくなった患者に対してインスリン製剤を使用すると疲弊したβ細胞が回復し、インスリン分泌機能が改善するといった報告もあります。

現在インスリン製剤の剤型には「プレフィルド製剤」というインスリン液と注射器が一体化したもの、「カートリッジ製剤」というインスリン液が入ったカートリッジと専用の注入器を組み合わせて使用するもの、「バイアル」というインスリン液が入ったバイアルとシリンジ(注射器)を使って使用するもの、があります。(バイアル製剤の中には一部、必要に応じ持続性皮下注入ポンプを用いて投与するものもある)

この中でも「プレフィルド製剤」は使い切りでカートリッジ交換の必要がない製剤であり多くの患者に用いられています。最近では、従来の製剤に比べ手の力が弱い患者でも無理なく注射できるように注入ボタンが軽くより小さい力で注入できるなどの工夫を施してある製剤が主流となってきています。

ここでは糖尿病の病態やその治療薬について説明してきましたが、初期の段階での高血糖は自覚症状を持たない人がほとんどです。症状が進むと異常な喉の渇きで水を多く飲んだり、トイレの回数が増えたり、体のだるさ、特に何もしていないのに急に体重が減ったなどの症状が出てきます。網膜症や神経障害など合併症における何らかの症状が出てきて糖尿病が発見されることもあります。合併症の中には命に関わることもあるので血糖をしっかりコントロールし合併症を予防することが大切です。

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看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
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40代で糖尿病になると自殺と事故死が多い 
今から働き盛りの悲劇を防ぐ生活改善を

   同じ糖尿病患者でも40代にずば抜けて自殺と事故死が多いという怖い研究を国立がん研究センターのチームがまとめ、2016年3月22日発表した。

   自殺だけではなく事故死まで含めて糖尿病との関連を調べたのは、精神的に追い詰められる患者が多く、事故死の中に自殺的な要因が入っているからだ。

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仕事を続けられなくなり、不自由な生活を強いられる

   研究チームは40~69歳の男女約10万5000人(平均年齢51.2歳)を約12年間追跡調査し、糖尿病と自殺および事故死(交通事故、転落事故など病死・自他殺以外の死)との関連を調べた。

   その結果、糖尿病と診断された40代の人は、そうでない40代と比べ、自殺と事故死を合わせた死亡リスクが1.9倍に上がり、50代でも1.4倍になった。しかし、60代は変わりがなかった。事故死だけを調べると、40代の人は2.3倍、50代は1.5倍に上がったが、やはり60代は差がなかった。

   なぜ、40代の糖尿病患者に突出して「自殺と事故死」が多いのだろうか。研究チームは「糖尿病患者はうつになる人が多く、精神的に不安定な状態でいると、交通事故などの不慮の事故にあいやすくなります。特に働き盛りの40代に多いのは、糖尿病の合併症である神経障害、失明、腎臓病のために仕事を続けられなくなり、不自由な生活を強いられるなど、ストレスが上の年代より強いからと考えられます」と説明している。

J-CASTヘルスケア

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肌に貼るだけで血糖値を測定&投薬!画期的なパッチが5年以内に実用化へ
2016.3.27

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現代病とも言われる糖尿病。患者は世界的に増えていて、日本も例外ではない。
厚生労働省の調査によると、2014年の日本の糖尿病患者は316万人超。予備軍も合わせると、かなりの数に上る。
この糖尿病治療に、革新をもたらしそうなパッチを韓国の研究者らが開発した。貼るだけで血糖値を測定してスマホにデータを送信、そして自動的に薬を注入するというものだ。

・汗で血糖値を測定

糖尿病の治療法のひとつに、インスリンを注射する薬物療法があるが、これには採血したり注射を打ったりと痛みや煩わしさが伴う。今回開発されたパッチはこうした悩みを一挙解決する。
パッチにはセンサーと極細の針が付いていて、まずセンサーが患者の汗などで血糖値を測定し、そのデータを連携するスマホにワイヤレス送信する。

・針先が溶けて薬注入

そして血糖値が高ければ、今度はスマホから投薬を指示する信号がパッチに送られる。信号が送られるとパッチ内のヒーターが熱を持ち、針の先が溶けて薬が体内に注入される仕組みだ。
針は非常に細いものを使っているため、患者は薬注入時、ほぼ痛みを感じないという。

このスマートパッチ、すでにプロトタイプが出来上がり、研究チームはその成果を専門誌Natureにこのほど発表した。5年以内に商品化される見通しという。

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妊娠中、血糖値が高いのが心配…糖尿病の可能性は|専門家の見解
妊婦さんからの相談:「測る時間によっては血糖値が高いことも。赤ちゃんは大丈夫?」

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出典:ixil.info

現在妊娠中期です。初期に血糖値が基準値を上回りブドウ糖の負荷検査をするとギリギリの数値で、今は75gブドウ糖の検査で基準値はクリアしましたが、父親が境界型なので心配です。

自分で血糖測定器で食後2時間値を測ると120を超えることがあり、朝の値はよいのですが昼夜は悪く、ブドウ糖の検査は朝一なのでクリアしたのかなとも思います。120超えは赤ちゃんに影響するというので心配です。(30代・女性)

妊娠中の血糖値が基準値を少しでも上回ると赤ちゃんに影響?
妊娠すると身体に様々な変化が現れますが、中には少し心配な症状もあるようです。妊娠中の血糖値が基準値を超えることがあり、赤ちゃんへの影響を心配している相談者の方に、看護師さんたちのアドバイスとは。
妊婦さんからの相談:「測る時間によっては血糖値が高いことも。赤ちゃんは大丈夫?」
現在妊娠中期です。初期に血糖値が基準値を上回りブドウ糖の負荷検査をするとギリギリの数値で、今は75gブドウ糖の検査で基準値はクリアしましたが、父親が境界型なので心配です。自分で血糖測定器で食後2時間値を測ると120を超えることがあり、朝の値はよいのですが昼夜は悪く、ブドウ糖の検査は朝一なのでクリアしたのかなとも思います。120超えは赤ちゃんに影響するというので心配です。(30代・女性)
食後に血糖値が上がった後のインシュリンの働きが重要
食事の後に一時的に血糖値が上がったとしても、インシュリンの働きでその後下がれば問題はないようです。妊娠糖尿病の可能性もありますが、自宅で測った血糖値を記録し、健診の際に医師に見せるのもよいでしょう。

妊娠糖尿病の診断に使われる75g負荷試験というのは、単に血糖の量だけではなくインシュリンの働きを調べるために行われるものなので、質問者さんが普段測ってくださっている食後2時間の値とは違います。負荷試験で基準値をクリアなさったとのことなので、現時点ではインシュリンの働きが悪いわけではないとは言えそうです。食べた後一時的に高血糖になっても、インシュリンが働いて血糖値が下がれば赤ちゃんへの影響は少ないでしょう。(産科看護師)

一般的に、血糖値の正常値は空腹時100mg/dl以下、食後2時間値が120mg/dl以下とされています。食べた物でも変動するので、HdA1cという約1カ月前の血糖値も診断の基準となります。相談者様の場合妊娠によるものと思われます。ですが75g負荷試験を行った時は良かったけれども、妊娠週数が増えるにつれて、今後妊娠糖尿病になってしまう可能性があるかもしれません。食前・食後2時間後の血糖を測った記録を持って、主治医に相談するとよいでしょう。(産科看護師)

妊娠中の高血糖は、母体や赤ちゃんに影響が
妊娠中の血糖値が高いと、妊娠中毒症や赤ちゃんが大きく育ちすぎてしまうなど、その他にも様々な弊害があるようです。食事や適度な運動など生活習慣の見直しで、血糖値の上昇を抑えることができると言われています。

妊娠中の高血糖は、早産や妊娠高血圧症、羊水過多症などお産に関連する合併症が起こりやすく、血糖は産後自然に下がることがほとんどですが、2型糖尿病に移行する方もいます。また赤ちゃんが4000g以上の巨大児になる可能性が高く、新生児期にも呼吸に問題があったり、高ビリルビン血症など様々な合併症を起こしやすくなります。(看護師)

血糖の上昇を防ぐためには炭水化物と甘いものを控え、たんぱく質(魚類)と食物繊維の豊富な食事を心がけると共に、妊婦体操やウォーキングなど適度な運動をするとよいでしょう。(看護師)

食後に血糖値が上昇したとしても、その後インシュリンの作用で数値が下がれば問題はないようです。現在自宅で計測している数値を主治医に見せ、相談しながら様子をみてはいかがでしょうか。

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見えてきた食塩と糖尿病腎症との密接な関係
日本慢性疾患重症化予防学会第2回学術集会

学会レポート | 2016.03.18

 透析患者の増加とそれに伴う医療費の激増は,今や国保や保険組合の持続性に関わる大問題となっている。1人年間500万円ともいわれる透析費用は財政規模の小さな自治体などには重大な負担で,透析患者をこれ以上増やさないことは喫緊の課題となっている。

日本慢性疾患重症化予防学会ではかねて食塩制限による透析予防の有効性を唱え,その普及に努めてきたが,本当に食塩制限は糖尿病腎症の進行を抑えるのか。2月13,14の両日,兵庫県西宮市で開催された同学会第2回学術集会から,シンポジウム「透析予防の新視点:食塩摂取過剰と糖尿病腎症」の概要を紹介する。

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長時間座っていると糖尿病やメタボになりやすい 2,497人の行動データから

デスクワークが多い人などはどうしても運動不足になりがちです。オランダの研究チームが、座っている時間と糖尿病メタボリックシンドロームなどになるリスクとの関係性について報告しました。

◆2,497人の座っている時間を測定

研究チームは2,497人(平均年齢60歳)を調査対象としました。対象者に8日間24時間加速度計を装着してもらい、30分以上座った回数や座った平均時間を計測しました。
座っている時間などの情報と、糖尿病メタボリックシンドロームの検査結果とを分析することでその関係性を調べました。

◆座っている時間が長いと糖尿病とメタボが多い

分析の結果、以下のことが分かりました。
座っている時間が1時間増えることに対するオッズ比は、2型糖尿病に対しては1.22(95%信頼区間:1.13-1.32)、メタボリックシンドロームに対しては1.39(95%信頼区間:1.27-1.53)だった。

つまり、座っている時間の合計が長い人では、2型糖尿病メタボリックシンドロームが多いということが示されました。

この研究では、対象者の平均年齢が60歳と比較的高かったことも結果に影響していたかもしれません。日頃から座ることが多い人は、食生活を見直したり、適度な運動をするなど心掛けると良いかもしれません。

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糖尿病 食事と運動、治療の両輪 医師・管理栄養士・看護師、連携し合併症防ぐ

“予備軍”段階から検査を

 視力障害や狭心症に脳梗塞(こうそく)、腎不全、神経障害と糖尿病はさまざまな合併症を引き起こす。地域の中核病院の多くは患者や家族向けに糖尿病教室を開き、啓発に努める。それでも多くの人が症状の進展に気づかず、重篤になってから病院に駆け込む。「まずは糖尿病のことを正確に知ることが大切です」と糖尿病や循環器の専門医である独立行政法人国立病院機構・東徳島医療センター(板野町大寺)の長瀬教夫院長は訴える。【聞き手は毎日新聞徳島支局長・田畑知之】

 --糖尿病とはどのような病気でしょうか。

 長瀬院長 血液中のブドウ糖の量を調整するインスリンというホルモンの作用が弱くなったり量が少なくなったために、高血糖状態が慢性的に続くことをいいます。インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)の細胞が破壊され、インスリンが分泌されなくなったことによるものと、インスリンの分泌量が少なくなったり効きが悪くなったために起きるものの2種類があります。二つ目のものが症例のほとんどを占めます。後者は主に40歳以上の人に多いと言われています。ただ、最近は肥満で子供がかかる場合もあります。

 --糖尿病、特に後者の症例の治療法は。

 長瀬院長 残念ながら現時点で完治はできません。患者さんの寿命を縮める恐れのある合併症の発症を防ぐことが主眼となります。生涯、治療が続くわけです。ですから、患者さんに治療を続けてもらえなければ意味がないのです。ところが「血糖値がコントロールできるようになったから」と自己判断で通院をやめる人が時々います。難問です。

 治療は食事療法と運動療法が両輪となります。薬物療法は、食事と運動の二つを行っても効果が出ない時に追加します。食事療法はカロリー制限が主体となります。最近は低糖質ダイエットが流行となっていますが、それでもやはりカロリーの50%程度は炭水化物で摂取するべきです。運動療法は有酸素運動が基本です。歩行といった全身運動がいいです。1日1万歩を目標にしてください。普通の人の1日の歩数は3000です。だいたい10分歩けば1000歩分に相当します。駐車場は目的地から離れた所に止めるとか2、3階程度だとエレベーターを使わないとか意識しないと達成は難しいですね。高齢者であれば、筋力が落ちてくるので水中歩行がいいでしょう。ただやみくもに運動すればいいというものでもありません。眼底出血している人や心臓に不安がある人が運動すれば悪化する場合があります。必ず主治医に相談してください。

 --お薬について教えてください。

 長瀬院長 糖尿病の飲み薬は主に7種類あります。インスリンの注射薬にもいろいろな種類があります。飲み薬の種類やインスリン注射の回数は患者さんの状態によって変わってきます。薬の使い分けは非常に複雑で難しい場合があります。というのは、糖尿病は患者さんが100人いたら100種類の病態があるのです。治療はいわばオーダーメードになるのです。

 --糖尿病の患者さんは多いわけですから、専門医の数が限られる現状ではどのように対応すべきでしょうか。

 長瀬院長 私たちの場合、地域の医療機関からご紹介いただいた患者さんは原則として普段はかかりつけのお医者さんにお任せし、3カ月か4カ月に1回、私たちの病院で受診していただきます。そして、今の治療を継続するべきか変更した方がいいかといった判断をかかりつけのお医者さんに連絡しています。
 糖尿病の専門医は、日本糖尿病学会認定の専門医は徳島県内で50人前後だと思います。ただ、県医師会が講習会を開いて専門医「県医師会糖尿病認定」を養成しています。相当の知識を蓄積した医師が増えています。

 --東徳島医療センターで患者さんに治療の基本を伝えるために入院を勧めているそうですね。

 長瀬院長 「容体が悪化した」と急に来られてもすぐに対応できないこともあります。糖尿病の治療は普段の生活に密接に根ざしているからです。そこで、患者さんに2週間の「教育入院」を勧めています。食前と寝る前の血糖値を調べ、薬をいろいろ変えてみたりします。管理栄養士や理学療法士、薬剤師が食事療法や運動療法について丁寧に説明します。病院職員が親身になって病状をよくしようとしている姿に、患者さんも「私も真剣に病気と向き合わなければならない」と思ってくれますよ。食事療法にしても、経験豊富な管理栄養士がその人の病態に合った食事を用意します。「これだけしか食べられないのか」と実感する方もいます。我慢できない人には低カロリーのスルメや酢コンブをゆっくりかんで空腹感をいやしてもらったりもします。「これまでは食べ過ぎだった」と気づく人は多いです。

 仕事が忙しくて2週間も時間が取れない人には週末に2泊3日入院してもらう場合もあります。ただ、週末の入院でも仕事を持っていらっしゃる現役世代の患者さんになかなか来てもらえません。これが課題ですね。

 --30代で症状が出ていなくても、50代で発症する人もいます。

 長瀬院長 年齢を重ねることは糖尿病になる重要な因子の一つです。また、血縁者に糖尿病患者がいた場合は要注意です。自覚症状のない病気ですから、検診は重要です。ただ、検診では半日程度の絶食後に採血します。しかし予備軍の段階では空腹時血糖は正常で、食後血糖だけが上昇することが多いので、糖尿病を早期診断するためには、食後の血糖値を把握する必要があるのです。ですから、検診で糖尿病の恐れが指摘されなかったとしても油断しないでください。長期間の血糖値の平均を反映する「ヘモグロビンA1c」を調べることも重要です。そして糖尿病予備軍の段階から定期的に検査を続けてください。

 --この10年間で医学は大きな進歩を遂げたと言われています。糖尿病治療でどのような進歩がありましたか。

 長瀬院長 多くの新しい薬剤が開発され、患者さんのライフスタイルに応じた治療が可能になりました。医師と管理栄養士、看護師の3者が連携することで、合併症の悪化を防げた例がこの4~5年で増えましたよ。腎臓機能を何とか保てたり、失明を避けられた事例があるのです。この3者が連携して対応し、患者さんの血圧と血糖をある程度コントロールできるようになると腎機能の悪化を防げます。糖尿病の治療だけを考えていては患者さんの生活の質は向上しません。血糖の数値だけを見ていても合併症は防げません。多職種間連携が必要ですし、トータルケアという概念が近年かなり普及してきました。


1977年 鹿児島大医学部卒
  77年 徳島大医学部第2内科
  85年 徳島大医学部付属病院第2内科外来医長
  89年 国立療養所東徳島病院内科
2009年 国立病院機構東徳島病院副院長
  12年 国立病院機構東徳島医療センター院長

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看護師の書いた糖尿闘病記
夫の糖尿病と闘い、克服していった生々しい記録。勇気が出ます
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