1型糖尿病と闘うには 栄養管理と運動で体調維持

毎日新聞2017年8月10日 東京夕刊

 1型糖尿病は主に子どもに起こる原因不明の自己免疫疾患で、治療のためインスリン注射を続ける必要がある。昔は血糖値のコントロールがうまくいかず腎臓や目、足などの合併症になる人も多かったが、自分で血糖値を測り、適切に注射をすることで体調を維持し、この病気と半世紀以上付き合っている患者もいる。このうち2人に療養体験を語ってもらった。

自己注射も保険適用/多様なインスリン製剤/仲間と交流、支え合う

 製薬会社の日本イーライリリー(本社・神戸市)は2003年、こうした患者を対象に年1回の「リリー インスリン50年賞」を設け、104人を表彰してきた。
 富山県高岡市の鮮魚商、荒井弘さん(70)はその一人。発病から56年たった今も週3日、市場で仕入れた魚を刺し身や切り身にさばき、行商する。お客さんの「おいしかったよ」の声が励みだ。
 14歳でだるさと異常な喉の渇きを覚え、動けなくなった。その後5年間入院。「退院も仕事も一生できないと思っていた」と振り返る。

 精肉店主が同じ病院にいた縁で住み込みの仕事に就いたのが転機だった。朝晩の注射は近くの医院でしてもらう。自転車で御用聞きと配達に走り回ったのが「適度な運動になったのでしょう」と話す。元気を取り戻し、結婚して家も買った。自己注射が保険適用されるとすぐ使い始めた。
 40歳が近づき、むくみが悪化して間もなく人工透析に。それから妻はノートを付けて栄養を管理し、本人は血糖値の測定器を買い、二人三脚で働いてきた。荒井さんは「痛くもかゆくもないのに突然、合併症で透析になった。医師の言うことを面倒がらずに聞いて、守っていたらよかった」と反省交じりに話した。
 愛知県出身の主婦、加藤敦子さん(63)は昨年の受賞者。12歳で発病した。現在は糖質もしっかり摂取するのが基本とされるが、当時は、ご飯も甘い物も駄目と言われて苦しかった。退院後、近所の看護師に教わって自分でも注射した。使い捨て注射器が使えるまではガラスの注射器を毎回、煮沸消毒したという。

 結婚と同時に東京へ。子どもが産めるのか心配だった。そのとき「可能性に挑戦しないでどうするの! できる仕事はしなさい」と主治医が笑顔で叱咤(しった)してくれた。2人の子どもが生まれ、今は事務のパートをしながら息子夫婦、孫と暮らす日々だ。
 「同じ病気の人との出会い、交流が支えになった」と加藤さんは話す。
 同じ病院に通い、同時期に妊娠していた患者と悩みを打ち明け合った。50年賞の授賞式で、合併症を防ぐ努力を続けるほかの患者の話を聞いて「可能性に挑戦」の言葉を思い出し、書道や英会話を始めたという。

 東京女子医大糖尿病センターの三浦順之助講師(糖尿病内科)によると、子どもが1型糖尿病だと分かった親はとてもショックを受ける。そんなとき三浦さんは「しっかりコントロールすれば普通の人以上の活動もできます。一緒に頑張りましょう」と語り掛ける。
 多様なインスリン製剤が登場し、測定器も5、6秒で測れるまでに改良された。ただ、本人が病気を理解して、血糖値を測って必要なインスリンを注射する大原則は変わらない。小学校低学年では個人差があるが、高学年ならきちんと病気のことを理解できるという。
 三浦さんは「長年の間には老化も加わり、慢性合併症や血管障害の危険性も高まる。それでも、合併症にならない、進行させないように医師のアドバイスを受けながら自己管理を続けることが、体調維持には大切です。その努力は決して無駄になりません」と励ましている。

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糖尿病や肥満でリスク増!
急性大動脈解離の原因や症状を専門医に聞く

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急性大動脈解離では外科的治療を行うこともある

血管は私たちの体の至るところに張り巡らされ、生きるうえで大切な血液を循環させる役割を担っている。そのため、血管に何らかの異常が見つかった場合、重篤な疾患につながりかねないことは容易に想像できるだろう。例えば、血管が詰まることで起きる脳梗塞や心筋梗塞などがその一例で、国内でも患者が多い。
その一方で、脳梗塞などの疾患に比べれば患者の絶対数こそ少ないものの、その恐ろしさではひけをとらない心血管疾患として大動脈解離がある。今回は消化器外科・外科の小林奈々医師に大動脈解離の中でも突発的に起きる急性大動脈解離についてうかがった。

――まず、急性大動脈解離の症状にはどのようなものがあるのかを教えていただけますでしょうか。

急性大動脈解離は血管の何層かの壁が裂ける疾患です。血管が裂けるときに激しい痛みがあります。裂けた箇所によって出現する症状は多岐にわたるため、状態の把握がとても大切な病気と言えます。一般的な症状としては突然の激しい胸背部痛や意識消失、腹痛、手足の痛み、腹部の張り、顔面浮腫、手足の麻痺などがあります。また、裂けた血管から血管外へ血液が流れ出したり、心筋梗塞を起こしたりすると、突然死するケースもあります。

――非常に怖い病気ですね。急性期で死亡するケースも決して珍しくないということで、発病自体を避ける必要があると感じます。急性大動脈解離の原因は何なのでしょうか。

高血圧や動脈硬化が発病のトリガーとなる症例が多いです。つまり動脈硬化の原因となる脂質異常症や糖尿病、高尿酸血症、肥満、喫煙などが危険因子となります。けがや血管の炎症、生まれつき血管が脆いことも原因となることがあります。急性大動脈解離の発症は年間で10万人に3人前後と言われていますが、年々増加傾向にあると報告されており、発症のピークは70代です。

――加齢に伴い動脈硬化になる人が増えていくと一般的に言われているため、それだけ急性大動脈解離の発病リスクも高まるということですね。高齢者で発病するとなると予後の問題もありますが、5年生存率などはどうなっているのでしょうか。

血管が裂ける場所と裂け方、裂けたことに伴う合併症によって予後はかなり違ってきます。未治療の場合は発症後48時間以内に50%、1週間以内に70%、2週間以内に80%の高確率で死亡すると言われています。報告によって差はあり、かつ血管の裂け方や状態で幅はありますが、5年生存率は25%弱~85%前後です。

――予防という観点では、日ごろからどのようなことに気をつけていればいいのでしょうか。

高血圧の症状がある場合は、しっかりと血圧のコントロールをすることが予防につながりますね。そして、動脈硬化を防ぐことも大切です。脂質異常症や糖尿病、高尿酸血症、肥満、喫煙などが動脈硬化の危険因子であるため、注意を払う必要があります。
また、採血や血圧測定(左右の腕で測定値に差がある)で急性大動脈解離が判明するケースもありますし、心臓に近い部分で血管が裂けると心臓の症状(胸痛や呼吸困難、意識消失など)が出ることもあります。少しでもいつもと違う胸や背中の痛みがある場合は、医療機関を受診してください。

――ありがとうございます。ただ、どれだけ予防に努めていたとしても、病気を100%防ぐのは難しいと思います。万一、急性大動脈解離に罹ってしまった場合はどのような治療が行われるのでしょうか。

治療は血管の裂けている場所や状態でまったく異なります。血圧やレントゲン検査、採血、エコー、心電図、CTなどの検査を行い、状態を把握し治療方法を決めます。その際、既往歴や全身状態、年齢なども加味します。
実際の治療にあたっては、人工血管を移植する手術などの外科的治療や降圧、鎮痛などによる保存的治療を選択します。血管内治療が選択されるケースもあります。命に関わる症例もあるため、しっかりとした全身管理と専門医による判断および治療が必要になります。

急性大動脈解離が起きる年代は高齢が多いです。つまり、予防としての高血圧・動脈硬化対策を若いうちからしっかりと意識づけしておくことが肝要と言えます。ちゃんと健康診断を受け、全身チェックをしっかりとしておきましょう。

※写真と本文は関係ありません
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取材協力: 小林奈々(コバヤシ・ナナ)

消化器科、消化器外科、外科医
クリニックでは専門である消化器疾患、痔を含め全般的な内科疾患の診療に従事。週2回の病院勤務では消化器疾患の手術を行いながら、消化器疾患中心の外来診療に携わっております。
このほか予防医学、早期発見早期治療の重要さを伝えるべく講演や新聞、雑誌などへのコラム掲載を行っております。
患者さんを第一に考え、患者さんの目線にたちながら、常に笑顔で、女性外科医だから行える気くばりと柔らかさのある診療を行うべく日夜励んでおります。
En女医会所属。さくら総合病院、自由が丘メディカルプラザ勤務。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。

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1型糖尿病と闘うには 2型と混同も 製薬会社アンケート

毎日新聞2017年8月10日 東京夕刊

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 ホルモンの一種のインスリンは、血糖値を下げる作用がある。膵臓(すいぞう)のβ細胞は、インスリンを作り出して血糖値の上昇に反応し分泌する役割を持っている。1型糖尿病は、何らかの原因で血液中のリンパ球がβ細胞を破壊してしまい、インスリンの分泌ができなくなってしまう病気だ。一方、2型糖尿病の場合は、食事や運動不足など生活習慣が深く関わっている。

 日本イーライリリーが2013年10月に、糖尿病ではない成人男女1000人を対象に行ったインターネット調査によると、「1型糖尿病をどの程度知っているか」という項目では、「知っている」が12.1%、「名前を聞いたことがある」が28.5%だった。一方、「種類は分からない」が45.6%、「知らない」が13.8%となり、約6割の人が病名も聞いたことがない状況が明らかになった。
 さらに「知っている」「名前を聞いたことがある」と回答した人に発症原因を尋ねると、「食べ過ぎ、運動不足など生活習慣」との回答が53.9%に上り、2型と混同している人も多い状況も浮かび上がった。
 1型糖尿病の特徴として、子どもや若い人の発症が多いと言われるが、年配者でも薬剤の副作用が原因で発症することが分かっている。厚生労働省は16年1月、悪性黒色腫(メラノーマ)や非小細胞肺がんなどの治療に使われる免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」(一般名・ニボルマブ)の投与を受けた患者が、1型糖尿病を発症する副作用が報告されているとして注意を求める通知を出した。このほか、痛風治療薬「アロプリノール(一般名)」などでも副作用での発症報告がある。【庄司哲也】

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