「ビールと唐揚げ」で太らない? 
医師が勧める衝撃の減量法

2017.8.14

 今年の夏こそダイエットを成功させるぞ! と固い意志で実行している人は多いだろう。おそらくそのほとんどが米やパンに代表される炭水化物や脂ギトギトの肉、ビールなど“ダイエットの天敵”と思われている食品の摂取を極力減らし、「腹八分目でカロリーを抑える」方法を選択しているのではなかろうか。
 だが、現役医師から「ビールをたくさん飲みながら唐揚げを腹いっぱい食べても痩せられる」とアドバイスされたら、こんなに嬉しいことはないはず。『カロリー制限の大罪(幻冬舎新書)』の著者で、北里研究所病院・糖尿病センター長の山田悟医師が、まさにその医師である。山田氏が推奨するダイエット食とはどんなものなのか。

 * * *

 --先生は「緩やかな糖質制限」さえすれば、あとは肉でも魚でも満腹になるまで食べても痩せられるという「ロカボ(低糖質を意味するローカーボハイドレートの略)」の食事法を提唱されていますね。

 山田:はい。ダイエットといえば極端なカロリー制限を続けることがもっとも効果的と思われていますが、それは大きな間違いです。
 肥満や深刻な生活習慣病を引き起こす大きな要因は食後高血糖です。日本人の6人に1人、40歳以上ともなると3人に1人が糖尿病予備軍といわれていますが、そうした血糖異常はまず食後に高血糖として表れます。そこで、糖質の摂取量を1食20~40g、間食10gを合わせて、1日70~130gに抑えることで血糖の上昇を防ぐ食事法です。

 そして、ロカボで一番大事なのは、糖質の高い食べ物にさえ注意すれば、あとはカロリーなど気にせずに肉や魚に含まれるたんぱく質や脂、そして野菜を満腹になるまで食べても大丈夫ということです。
 むしろそのほうが基礎代謝が上がってエネルギー消費を促してくれます。実際、たんぱく質や脂質の摂取を増やせば増やすほど食後血糖値の上昇を防ぐことができるというデータが世界各地で報告されています。

 --糖質の多い主食でも、白米は1食70g(ご飯茶わん半膳)、食パンなら1枚(6枚切り)は食べてもよいとされていますね。

 山田:主食を抜いて完全な糖質制限をしようと思ったら、「MEC食」といって肉(ミート)と卵(エッグ)、チーズだけ食べましょうということになりがちですが、そんな食生活は楽しく続けられるはずがありませんよね。野菜でも厳密に選んでいけば、キャベツや玉ねぎにも糖質が含まれているので、食べられるのはブロッコリーやカリフラワーといったものだけになってしまいます。
 それよりも、食事を楽しむためにも必要最低限の糖質は摂りつつ、肉や魚、野菜料理を一緒にたくさん食べる習慣をつければ、自然と血糖値の上昇を抑えることができるのです。
 単純なことをいえば、白米だけ食べるよりも、油を使ってチャーハンにしたり、たんぱく質である卵をかけて食べたほうが血糖値のピークは低く抑えられます。麺類でも、ざるそばや素麺だけを食べるのではなく、天ぷらなどの揚げ物でもいいですし、かしわや卵焼きをつけるなど、おかずと一緒に食べたほうが食後血糖の抑制には効果的です。

 --先生は著書の中で「摂取カロリーを正確に把握することは難しい」と書いていますが、糖質についても1食20~40gなんて正確に分かるものなのでしょうか?

 山田:非常に重要なご質問です。例えばカツオでも初ガツオと戻りガツオでカロリーが違いますが、それは基本的には脂の乗り方の違いです。ラムとマトンのカロリーの相違もそうです。食品に含まれるカロリーは脂の乗り方、差しの入り方で変わるので、まったく把握できません。

 一方、食品に含まれる糖質の量はかなり安定しているのです。おかず(メインディッシュ=主菜、サイドディッシュ=副菜)に含まれる肉、魚、野菜といった食材の中の糖質量は1食あたりほぼ20g程度となることが経験的に知られています。
 ですので、主食(穀類)と果物の糖質量を合計で20g程度に抑えれば、1食の合計は40g以内に収まるのです。先ほどの炊いた米70g、食パン6枚切り1枚というのは糖質量が20g強の主食量なのです。主食の糖質量さえ考えておけば、糖質摂取量を安定させることは可能です。

 --確かに総カロリーよりは把握しやすいかもしれませんね。

 山田:消費者庁の『食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン』を見ると、例えば同じ鶏肉であっても若鶏と成鶏といった種や年齢、エサによってカロリーが違うことが明らかと記載されていますし、食品メーカーが表示する際にもプラスマイナス20%の誤差はOKとされています。それだけ正確なカロリー計算は難しいのです。

 一方、私たち日本人は1食100g程度の糖質を食べています。それを1食30gにしようと目指してプラスマイナス20%のブレがあったとしても、24~36gの範疇に収まります。ブレていて一向に構わないのです。
 1食40gを目指して上にブレたら50g程度とオーバーしてしまうじゃないかと心配された方もどうぞご安心ください。糖質制限の場合には、よっぽど極端な場合を除いて、やればやるほど効果が出ますが、緩やかでも緩やかなりの効果が出ます。1食40gが50gになったからといって効果の相違は10gの部分とわずかなものなのです。安心してブレてください。

 --食べる順番も大事だとか。肉や魚、野菜を食べて最後に糖質を摂る「カーボラスト」を心掛ければいいと説かれていますが、ご飯と一緒におかずを食べないと満足できない人も多い。

 山田:たんぱく質や脂質、食物繊維などはそれぞれ血糖値を上げにくくする成分をお腹から出させているので、しっかり食べて最後に糖質を摂取すれば、同じ糖質量でもカーボファーストで食べたときより血糖値が上がりにくくなります。また、糖質にいく前に満腹になれば摂取量も減っていきますしね。

 そういった意味では、例えば和食の懐石料理は理にかなっていますし、由緒正しい蕎麦屋でお酒を飲みながらつまみをしばらく食べ、最後に蕎麦をすするのもロカボ的には正しい食べ方なんですね。
 ご飯と一緒におかずを食べないと満足できない人というのは、おかずの味付けの塩分が濃い方です。おかず単品で食べるためには、減塩と加油を意識する必要があります。

 --お酒といえば、糖質が多く含まれてダイエットの妨げになると思われてきたビールについても、先生は飲んでいいと説かれていることに驚きました。

 山田:小麦が原料のビールは、これまで血糖値が上がりやすいお酒を考えられてきましたが、最近その常識が崩れつつあります。
 文部科学省が発行している『七訂日本食品標準成分表』(2015年版)を見ると、今でもビールの欄には100mlあたり約3.1gの炭水化物が含まれていると書かれています。つまり、350mlの缶ビールには約10gの糖質が入っているとされてきました。

 しかし、正確にいうと糖質は炭水化物から食物繊維を除いたもので、これが血糖値を上げる成分だと考えられています。その中には血糖値に影響を与えない有機酸や糖アルコールも入っています。そういったものを除外し、ブドウ糖や果糖、ショ糖など血糖値を上げる糖類だけを「利用可能炭水化物(単糖当量)」として細かく測定する動きが進んでいます。
 そこで、改めてビールの栄養成分を検出してみると、利用可能炭水化物をほとんど含まないことが分かりました。前出の成分表にも「微量」と書かれています。つまり、ビールは血糖値を上げないお酒だという認識になったのです。

 --ビールをたくさん飲んでも太らないということですか?

 山田:ビールの中には黒ビールのように糖類が多く含まれる種類もあるので一概には言えませんが、基本的には他のたんぱく質や油が豊富な食べ物と一緒に飲めば高血糖になりにくいといえます。血糖値を上げなければダイエットにも繋がります。
 だから、この季節ビアガーデンに行ったら、ジョッキビールを片手に、枝豆と唐揚げを思う存分味わってほしいと思います。焼肉に行ってお酒を飲みながら次々と肉や野菜を食べ、最後に特上カルビでシメてもまったく問題ありませんよ(笑い)。

 --それはダイエット中の人には心強いお言葉です。飲み物という括りでは、近年、野菜でつくるスムージーはヘルシーで流行っていますが、先生はあまり勧めていませんね。

 山田:それも原理は一緒です。野菜を摂りにくい生活パターンの方がプラスアルファとして野菜だけのスムージーを飲むのは構いませんが、それだけで朝食を済ませようとするのは問題です。野菜スムージーで得られるのはビタミンや一部のミネラルだけなので、同時にたんぱく質や脂質を摂らないと骨や筋肉がつくられませんし、昼食後や夕食後の血糖上昇を抑制しにくくなってしまいます。

 もっと大きな問題は、スムージーをより飲みやすくするために糖質の多い果物やハチミツなどを隠し味で入れてしまうことです。これでは糖質量が上がり、かえって太ってしまいます。

 --先生の著書の中でも、ロカボでもっとも注意すべきは果物で、「スナック菓子に等しい」と書いてあり衝撃を受けました。

 山田:果物に含まれる果糖は直接的には血糖値を上げませんが、体内で中性脂肪に変化して内臓にくっつき、脂肪肝などを引き起こしやすくなります。最近は果物だけでなく、フルーツトマトのように甘みを増した品種改良の野菜が出るなど糖質の多いものが増えているので、そちらにも注意が必要です。

 よく「朝の果物は金」などといわれ、健康やダイエットのために朝食は果物だけしか食べない人もいますが、それは決してよくありません。太りやすいかどうかだけで見れば、果物は米や砂糖よりも危険です。果物を食べるときは量を控えたり、間食として食べたりすることをお勧めします。朝食にバナナを1本食べるならば、やはりベーコンエッグなどたんぱく質や脂質と一緒に食べるのが望ましいでしょうね。

 --先生が監修した低糖質食品の開発や、1日の糖質量を抑えたロカボメニューを取り入れる外食店舗も増えていると聞きます。はじめから低糖質メニューと謡っていれば、消費者にも分かりやすいですよね。

 山田:そうですね。最近は糖質の少ないパンがコンビニエンスストアやスーパーマーケットで売られていますし、外食店でも米の糖質をオフしたオムライスや、注文すれば糖質を半分にした麺に変えてくれるラーメン屋さんやうどん屋さんなどもあります。

 ロカボは「糖質を抑えていても美味しい料理をお腹いっぱいに食べられる」ことが基本です。そうした無理のない食生活を続ける中で、体重の減量効果が得られれば、ずっと継続したくなるでしょうし、太りにくい体も自然と維持できるようになりますよ。

 ●やまだ・さとる/1970年生まれ。北里研究所病院・糖尿病センター長。日々の糖尿病治療においてQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を追求していく過程で糖質制限食に出会う。2012年『奇跡の美食レストラン』(幻冬舎)を刊行、2013年に緩やかな糖質制限食=ロカボの考え方を普及させ、一般社団法人「食・楽・健康協会」も立ち上げる。

 ■撮影/山崎力夫(山田医師)

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「ビールと唐揚げ」で太らない? 医師が勧める衝撃の減量法 (1/5ページ) – zakzak

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生活習慣病の代表格・糖尿病とアルツハイマー病の関係とは?

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『アルツハイマー病は「脳の糖尿病」(ブルーバックス)』(鬼頭昭三、新郷明子/講談社)

 後天的な脳の障がいにより、いったん正常に発達した知能が低下する状態となる認知症。本来、いくつかの病気を包括した名称であるが、その多くを占めるのが、記憶障がいや判断力の低下などを伴う「アルツハイマー病」だといわれる。
 そして近年、生活習慣病の代表格である糖尿病とアルツハイマー病に関係がみられるようになってきたと主張するのは、『アルツハイマー病は「脳の糖尿病」(ブルーバックス)』(鬼頭昭三、新郷明子/講談社)だ。

◎糖尿病患者はアルツハイマー病を患うリスクが2倍になる統計も

 本書によれば、糖尿病とアルツハイマー病は「生活習慣病の範疇」に含まれるという。生活習慣病としては、他にも高血圧症や脳梗塞、がんなどが挙げられるが、いずれにせよ引き金となるのは日常生活のストレスや喫煙、食物中の変異原物質など。これらにより遺伝子のDNAが損傷を受け、細胞が老化することで発症するという見方がある。
 そして、糖尿病の中でも日本人患者のうち95%が該当するといわれるインスリン作用の不足を主な要因とした2型糖尿病(以下、本稿では糖尿病と明記する)と、アルツハイマー病が並行して増えているというのが本書の指摘だ。
 少し時代をさかのぼるが、ある地域で1988年から15年間にかけて60歳以上の男女1017名を対象に統計を取ったところ、予備軍を含む糖尿病患者のうち、アルツハイマー病を患うリスクが非糖尿病患者と比べて2倍になったと報告されたという。

◎糖尿病とアルツハイマーの共通点は“インスリン”

 糖尿病とアルツハイマー病の共通点とは何か。本書ではその理由として、糖尿病の原因を作り出す体内の部位・すい臓と、アルツハイマー病に関連する記憶を司る脳の部位・海馬の関係を取り上げている。
 そもそも糖尿病とは、すい臓の中に散在するランゲルハンス島内のβ細胞から生み出されるインスリンの作用が何らかの原因で低下し、ブドウ糖の代謝異常を起こし、血糖値が上昇することで起こる。

 一方、アルツハイマー病は海馬の損傷をきっかけに脳が徐々に萎縮していくことで、新しい記憶から失われていくのだという。そして、この起点となる海馬の中でも、すい臓と同じようにインスリンが生み出されており、さらには記憶を伝達する物質として作用しているというのが本書の見方だ。

 ところが、血中のインスリン濃度が何らかの原因で異常に高くなる「高インスリン血症」の状態になると、身体は血糖値を正常に保とうとして「インスリン抵抗性」を持ち始める。これにより脳の中でインスリンが行き渡りにくくなることで、記憶物質としての働きが難しくなりアルツハイマー病を発症しやすくなるのだという。

◎喫煙やアルコールは大敵! 食事療法「地中海式ダイエット」で対策を

 本書ではいくつかの予防策が取り上げられているが、その中でも比較的分かりやすいのは睡眠をしっかり取るということである。ある研究によれば、一晩の睡眠時間を4時間に制限した状態を5日間続けると「インスリンの作用が40%低下し、強いインスリン抵抗性の上昇がみられる」という結果もあったそうだ。
 また、生活習慣病の主な要因とされる喫煙も大敵で、タバコに含まれるニコチンは脳の中で記憶の促進に役立っている女性ホルモンの「エストロゲン」の作用を阻害してしまう。同じように過度な飲酒もできれば控えるのがよく、アルコールが分解されて生み出される「アセトアルデヒド」は毒物として、インスリン抵抗性などの上昇を引き起こしかねないのだという。

 さらに、糖尿病とアルツハイマー病の対策として、本書で紹介されているのが食事療法の一つである「地中海式ダイエット」だ。食事内容で気をつけるべきとされるのは、以下の3点である。

1)野菜、果物、穀物などの植物性の食品を豊富に摂る

2)脂肪源としてオリーブ油のような不飽和脂肪酸を摂るよう心がける

3)チーズやヨーグルトなどの低脂肪の乳製品を日常的に摂る

 いつまでも健康でありたいと願うのは、誰しも思うことだろう。病気になってからでは遅く、何ごとも日頃からの予防が肝心となるし本書もその足がかりとなる。そしてもし、自分の身体に異変を感じる場合には、所定の診療機関へ足を運ぶのも忘れないようにしていただきたい。

文=カネコシュウヘイ

ダ・ヴィンチニュース

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