石川県、糖尿病重症化予防を目的とした成果発表会を開催◆Vol.1

2018年4月18日 m3.com地域版

石川県では、2013年度から第6次医療計画に基づき、県内を9地域に分けて、地域ごとの医療連携を推進している。毎年、年度末には石川県が糖尿病対策成果発表会を開催し、医療関係団体も含めて取り組みを共有する。本稿では、今年度の成果発表会の内容について、県内9地域の協議会から紹介する。

眼科・歯科・内科の3科連携で多施設共同研究を継続

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羽咋郡市医師会糖尿病地域連携協議会では、「糖尿病の重症化予防と合併症の正確な把握」を目的に、眼科・歯科・内科の3科連携で活動している。2016年からは、毎年「糖尿病患者における歯周病と心血管イベント」に関する研究を継続的に学会で発表してきた。今年度は「糖尿病患者の歯周病は、他の生活習慣病(高血圧症・脂質異常症)患者に比べて重症か」について、多施設共同研究を実施した。

今回の研究目的は、「糖尿病患者は、他の生活習慣病(高血圧症・脂質異常症)患者に比べて、(1)無歯顎の頻度や年齢はどうだったか(2)糖尿病患者の歯周病の頻度、および、その重症度はどうかの2点だった。研究方法は「2型糖尿病群」「その他の生活習慣病群(非糖尿病群)」の2群に分け、症例(対象712例)を解析した。

その結果、(1)では糖尿病患者の無歯顎の頻度は非糖尿病群と比べて高いとはいえないが、無歯顎となる年齢は糖尿病群(59±9歳)のほうが非糖尿病群(62±10歳)より早いとわかった(p値0.020)。糖尿病群では30代から該当者が見られ、50代60代に患者が集中していた。一方、非糖尿病群では30代の該当者は1人もおらず、70代に患者が集中していた。特に男性には有意差が見られた。

(2)については、歯周病が重症となる要因について重回帰分析をした結果、因子の「男性(p=0.025)」「糖尿病があること(p<0.001)」に因果関係が示唆された。さらに、糖尿病患者群のほうが非糖尿病患者群より歯周病外科治療を受けた人数が約3倍多かった。同会の中野茂副会長は「歯科医師はなるべく温存する方向で治療をしていますが、歯周病が重症の場合、5,6本の抜歯となる症例もあります。この研究によって、若い方の総入れ歯がいかに多いかもわかりました」と話している。

病診連携の新規利用者増を目的として、市からの助成を取り付ける

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「かけはしネットワーク能美」からは、「住民健診における尿中アルブミン検査」の取り組みの続報があった。能美市では糖尿病性腎症の早期発見と透析への導入予防を目的に、昨年度から住民健診、および、医療機関で糖尿病治療を受けている人を対象に「尿中アルブミン検査」を取り入れている。近年、「糖尿病患者はGFRが正常でも、尿中に微量のアルブミンが漏れ出すことで糖尿病性腎症の早期発見につながることがある」と分かってきたからだ。

同会では、2016年度は尿検査で(-)~(+)の人を対象としていたが、(+)の人はすでに糖尿病性腎症と診断されているとして、今年度は尿検査(-)~(±)までとした。

その結果、2016年度、尿中アルブミン検査で30㎎/gCr以上だった人(63人)のうち、2017年度も健診受診した31人の測定数値は30㎎/gCr未満の人が9人、300㎎/gCr以上は1人だった。だが、この9人の中には、前年比で尿中アルブミン数値が低くなったが、HbA1cの数値が上がっている症例があり、必ずしも両者に関連があるわけではなかった。このため、「1回の尿中アルブミン測定では判定が難しい」となり、「3回中2回以上、尿中に微量のアルブミンが確認されれば早期腎症と診断する」となった。

そこで、「医療機関からかかりつけ医への連絡票を作成し、かかりつけ医で再度、日を替えて尿中アルブミン測定をしてもらうことになりました」と松田健志代表は説明する。

さらに、かかりつけ医で再検査後、尿中アルブミン30㎎/gCr以上だった場合は、市に保健指導として糖尿病合併症検査の説明を依頼するほか、平成26年度から「能美市糖尿病かけはしチェック」を利用してもらっている。これは病診連携として、かかりつけ医に通院中の糖尿病患者を対象に、1、2年に1回程度、基幹病院で合併症の検査・評価、および、栄養指導や療養指導をまとめて受けてもらう取り組みである。

だが、今年度4年目になっても新規利用者が10人前後と増えないという課題にぶつかった。同会でその理由について開業医にアンケート調査をしたところ、メリットには「専門医の意見を聞くことができる」「糖尿病以外の病気が見つかることもある」等の意見が出たが、一方、検査費用の問題や患者が希望しないという声もあがった。「そこで市にかけあって、2018年度からは検査費用の一部を助成してもらえることになりました。患者さんが希望しないという理由もPR不足が指摘されたため、重点を置いて改善していきたいと考えています」と松田代表は話している。

これらの発表を受けて、座長で石川県糖尿病対策推進会議メンバーの古家(こや)大祐氏(金沢医科大学教授)は「県から協議会への補助事業が5年目になり、アウトカムが出ていない会も出てきています。でも、そうでない会もあきらめずに活動を続けることが大切です。重症患者の抽出がうまくいくことが鍵となります」とアドバイスした。

このほかの7つの協議会の取り組みについては、表にまとめる。

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