糖尿病と仕事の両立 糖尿病を職場でカミングアウトすべきか

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 「職場の理解と支援が不足している」と感じる糖尿病患者は3分の1に上ることが、英国糖尿病学会(Diabetes UK)の調査で分かった。

 仕事と糖尿病の治療の両立を促進するために、同学会はキャンペーンを開始した。

6人に1人が「職場で差別を受けている」と回答

 血糖コントロールが良好で、深刻な合併症が出ていなければ、多くの場合で糖尿病は就業の妨げにならない。糖尿病の治療を続けながらプロスポーツ選手として活躍している人もいるし、飛行機のパイロットもいる。英国の首相も1型糖尿病患者だ。

 糖尿病は制約であっても、良好にコントロールできれば、そこから得られるものも多い。
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 英国糖尿病学会(Diabetes UK)は、職場での糖尿病への理解を高め、仕事と治療の両立をはかるために、キャンペーンを展開している。

 同学会の調査によると、糖尿病とともに生きる人の3分の1は、糖尿病について「職場の理解と支援が不足している」と感じている。また、6人に1人が糖尿病を理由に「職場で差別を受けている」と回答している。

 さらに「職場に糖尿病であることを告げていない」という人も7%に上る。4人に1人は「治療や検査のために定期的な休養を必要としている」と回答している。

糖尿病に対する誤解が精神ストレスに

 糖尿病は多様な病態を示す複雑な疾患で、患者によって治療内容はさまざまだ。1日に数回の血糖測定が必要な人や、インスリンの頻回注射が必要な人もいる。

 「糖尿病とともに生きる人が、健康状態について職場で対話できる環境づくりが必要ですが、現状では糖尿病は十分に理解されていません」と、英国糖尿病学会のキャンペーンのディレクターを務めるヘレン ディケンズ氏は言う。

 たとえば、経営コンサルタントの仕事をしていたミーガンさんは27歳、14年前に1型糖尿病を発症した。職場や同僚の糖尿病についての理解が得られず、今年退職した。

 「糖尿病に対する多くの誤解があります。そのために、毎日対処しなければならない糖尿病のコントロールに、感情的なストレスが加わります。毎日の生活で感情的ストレスに対処するのは苦痛です」と、ミーガンさんは言う。

糖尿病の人が支援を受けられる環境づくり

 英国には、仕事と治療の両立を求める患者が220万人以上いる。職場での糖尿病に対する理解が不足しているため、疲労感やストレスが亢進するだけでなく、治療を良好に続ける上で障害となり、合併症の危険性が高まっていると感じる人が多い。

 「職場で生じる差別などの問題の原因は、糖尿病に関する知識の不足です。糖尿病の人が必要な支援を受けられるよう、環境を変えていく必要があります」と、ディケンズ氏は言う。

 英国政府は、社会格差やワーキングプアの問題を解消することに政治課題として取り組み、2010年に「平等法」を成立させた。年齢、障害、性適合、婚姻、宗教・信条、性別、性的指向などを理由に差別をすることを禁止している。公平な経済社会をつくることが未来の発展につながるというのが基本的な考えだ。

不当な就業差別は法律違反

 糖尿病とともに生きる人の多くは、糖尿病を障害と考えていないかもしれないが、「身体的または精神的障害」があり、日常的な活動を行う能力に長期的に悪影響を及ぼす可能性があるものは「障害」とみなされる。

 同学会は、「糖尿病は、特に合併症を発症した場合には、障害になりうる」と主張し、不当な就業差別は「法律違反になる」としている。同時に、糖尿病とともに生きる人々に対する社会的な支援も必要だ。

糖尿病を理由に解雇するのは不当

 同学会は、仕事を続ける能力が実際にはありながら、糖尿病であることを理由に、会社などが一方的に解雇するのは不当だとしている。

 インスリンや一部の血糖降下薬を使っている患者は、低血糖の危険性が伴うが、低血糖を抑えながら血糖値をコントロールする治療も進歩している。

 糖尿病患者は、警察、消防、救急医療など、一部の職業には向かないが、それ以外のほとんどの職業に就く能力があるという。

 ただし、たとえばシフト制の仕事など就業時間が不規則な場合は、仕事の健康上の要求を満たすことができなくなるおそれもあるので、職場で柔軟に調整するなど支援が必要となる場合もある。

仕事と糖尿病の治療を両立するために

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 就職試験を受けるときに、糖尿病であることを説明するべきかは、英国でも難しい問題になっている。

 平等法の基本的な考え方は障害者の雇用機会を改善することだが、仕事に従事するときに健康状態が大きく影響する場合は、仕事に必要な作業を安全に行えるかを確かめる必要があり、雇用者に裁量権が与えられるのが合理的だからだ。

 法律は、病気ではあっても仕事を問題なくこなせる場合は、病気を理由に差別することを禁止している。一方で糖尿病を隠したまま就職した後で、糖尿病が障害となり、結果として差別につながった場合は、法律の保護を受けられないかもしれない。

 同学会は、「もしもあなたが糖尿病であるならば、面接で糖尿病について尋ねられない場合は、書面を求められるまで、糖尿病であることについて説明するのは待った方が良いかもしれない」とアドバイスしている。

 この段階では、採用担当者はあなたが仕事に適合しているかを判断しようとしており、糖尿病などの病気が最終的な決定に影響をもたらすとは考えていないことが多い。

糖尿病であることをカミングアウトすべきか

 仕事と糖尿病の治療を両立するために、英国糖尿病学会は次のことをアドバイスしている。

 職場に糖尿病であることを伝えるべきかと悩む患者は多い。これについては、職場の環境によって柔軟な対応が求められる。

 低血糖になる可能性の少ない治療を受けていて、糖尿病が業務に与える影響はほとんどない場合には、伝える必要はないかもしれない。

 一方で、糖尿病の状態(インスリンの使用、低血糖の頻度など)によっては、糖尿病について職場に伝えておいた方が良い場合がある。糖尿病があることを伝えておけば、職場で支援を受けやすくなる可能性がある。

思い切って糖尿病について職場に伝える

 糖尿病人口は世界的に増加しており、世界中で社会問題になっている。糖尿病について全く知らないという人はいまや少数だ。ただし糖尿病の適正な知識が不足しており、無知や恐怖心から誤った過剰な反応をするかもしない。

 もしも、あなたの職場に糖尿病の人がいなければ、糖尿病についてもっともよく知っているのはあなた自身だ。あなたが糖尿病を話題にしないと、同僚は全く関心をもたないかもしれない。

 あなたが思い切って糖尿病について簡単に説明してあげれば、他の人たちと理解を共有でき、あなたにとっても役に立つ。糖尿病の状態によっては、職場の信頼できる人に糖尿病のことを伝えておく方法もある。

低血糖時には周囲の助けが必要なことも

 低血糖はインスリンや一部の血糖降下薬が原因で起こる。低血糖で意識障害が出ると、自分では何もできなくなるので、周囲の人に処置をしてもらう必要が出てくる。

 低血糖のおれそがのある人は、職場の人になぜ低血糖が起こるのかを説明し、低血糖の時の対応を頼んでおくと安心できる。

治療の中断だけは絶対に避ける

 この10年で糖尿病の治療は大きく進歩した。治療を継続さえすれば重篤な状態を防ぐことが十分に可能だ。

 その一方で治療を中断したために重症化する糖尿病患者は後を絶たない。

 多くの糖尿病患者は、定期的に通院して治療を受けている。病院や診療所の多くは平日の日中が診療時間となっており、働いている人にとって受診が困難な場合がある。

 しかし、受診が中断すると薬が途切れることになったり、血糖コントロールや合併症の状態がわからないまま病状が悪化してしまったりする危険性がある。

受診のスケジュールについて相談しよう

 職場に伝えていないために、「治療・通院のため」という理由で休暇を取得するのが難しくなり、通院を困難にしているケースは少なくない。

 糖尿病は長期にわたる治療が必要となる疾患で、血糖コントロールを続けるのが難しく感じる時期もででくる。そうした時に、生活が不規則となりやすい残業や出張を一時的に調整するよう上司や同僚と相談できれば、患者にとって大きな助けになる。

 職場での食事や運動の頻度、治療薬を使用するタイミングなどを振り返り、主治医と相談して、仕事の状況に合った方法を考えることが必要だ。

 受診しやすい日時や受診間隔について、医師や看護師とよく相談しよう。また、業務内容や仕事のスケジュールについても共有して、自身の生活に合った、負担の少ない治療受けられるよう調整することが必要だ。 One in six people with diabetes discriminated against at work(英国糖尿病学会 2018年4月10日)

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